【2016年4月】為替レートの変動が企業に与える影響

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 為替レート変動の影響というと、二つあります。即ち、企業業務及び財務への影響です。ここでは、財務に与える影響の話を少ししましょう。

 大部分の外資系企業に対し、外貨建て(注1)の資産・負債が多かれ少なかれ存在します。
「会社口座の残高は変わっていないが、損益計算書に数十万の為替損失(収益)が発生し、利益の減少(増加)を起こすのは何故でしょうか」と、経営者の方々からよく聞かれます。それは、記帳本位通貨の人民元の立場で資産或いは負債の価値を計算したからです。

 ここで銀行預金の例を挙げましょう。仮に会社に100万米ドルの預金があります。月初、人民元対米ドルの為替レートは1USD=6CNYですので、100万米ドルの預金を人民元に換算すれば600万元に当たります。月末には、100万米ドルの預金は変わっていないが、為替レートは1USD=6.5CNYになったため、人民元に換算すると650万元に相当します。人民元から見ると、50万元の資産が増加し、50万元の為替収益になります。

為替レートの変動が企業の資産・負債に与える影響は下記の通りです。

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為替レートの変動が企業の資産・負債に与える影響が大きい場合に為替変動リスクを回避する手段としては「外国為替先物予約」(注2)などがあります。例えば、ある会社が、返済期間一年の1000万日本円の借入金をして1JPY=0.055CNYで両替して55万元にします。一年後の為替レートが1JPY=0.065CNYになる場合、返済に65万元が必要で10万元多くかかることになります。仮に0.050なら50万元ですみます。そこで、将来の円安のメリットにとらわれず、円高による為替損失を防ぐために、借金の際に「外国為替先物予約」を購入し、一年後に1JPY=0.060CNYの為替レートで1000万日本円を購入することを予約します。その場合、一年後の為替レートが如何に変動しても、60万元と確定します。


注1:中国における大部分の企業の記帳本位通貨は人民元です。そこで、本文には人民元を記帳本位通貨とし、人民元以外の貨幣を外貨とします。

注2:「外国為替先物予約」とは、顧客と銀行の間で、特定の外貨通貨を、将来の一定の時期に一定の為替レートで一定の数量を受け渡すことを、現時点において契約を締結する取引です。