【2018年5月】税務局が社会保険金を徴収! 貴社の社会保険金制度は大丈夫ですか?

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2018年は、企業増値税率の引下げや個人所得税の減税など、中国の税制度が大きく変動します。その中であまり注目されていませんが、社会保険徴収に関する法規の改正もあります。2018年末から2019年の頭までに、企業の社会保険金の徴収は、従来の人力資源と社会保障局から、税務局に変更されます。現在人力資源と社会保障局は従業員の給与情報を持っていないため、今まではあくまでも申告された給与データを基に社会保険金を徴収していました。多くの会社は従業員給与を過少に申告することで、社会保険金の負担を抑えてきました。しかし、今後税務局での社会保険金徴収が始まれば、納付基数を個人所得税と照合されるので給与の過少申告が不可能になります。このため、中小規模の一部の中国企業は、社会保険金の負担が一層高まると予想されます。

 日系企業のほとんどは問題なく社会保険金を納付しています。ただし、一部の会社は法律の誤解などで、満額納付をしていません。今までは政府による社会保険監査を受けなければほとんど発見されませんでしたが、税務局での社会保険徴収が始まると過少申告が発見されやすくなり、会社に大きなリスクをもたらします。貴社にこのような問題がないか、是非チェックしてください。

  以下は、日系企業によくある社会保険に関する主なリスクです。

1.   手取給与金額で申告

 日系企業では、手取給与の金額で従業員と労働契約を締結し、月次給与を計算することが多く、社会保険金基数を申告する際にその手取給与の金額のままで申告している会社が少なくない。法律では、社会保険金基数は個人所得税、個人負担分社会保険金と住宅積立金を含むグロス給与と定めているため、手取給与で申告すると、過少申告となる。

 特に、給与納付などの人事管理業務を外注業者として受けている会社が、手取金額で申告する傾向が強い。外部の専門会社に依頼しているので、各種申告も正しいはずと認識しているかもしれないが、実は初期の確認が不十分だと、以降同じ方法で運用され、外注業者がミスを発見できないことが多い。

2.   社会保険金基数の過少申告

 従業員は手取給与を多くもらうため、従業員自身が会社に社会保険金の過少申告を要求することがある。従業員から協議書を提出し、社会保険金を過少申告で発生するすべての責任は本人にあると約束することもよくある。税務局で社会保険金を徴収すると、基数と個人所得税が照合され、過少申告がすぐに発見される。また、社会保険金の満額納付は会社の義務であり、従業員との過少申告の協議書があっても、それは無効と見なされ、会社の納付責任は免れない。

3.   勤務地以外の都市で、従業員社会保険を納付

会社所在地以外の地域で従業員を雇用し、業務展開する会社がある。従業員は勤務地や戸籍所在地で社会保険金の納付を希望するため、会社は現地の代理会社を経由し、社会保険金を納付することがよくある。法律では、社会保険金は会社の設立地に納付すべきと定めているため、設立地以外の場所で納付することは本来違法である。今までは代理会社経由で設立地以外の地域でも社会保険を納付できたが、税務局の徴収になると納税する会社名と社会保険納付会社名が異なることがすぐに発覚する。しかし、代理会社を経由し外地で納付する会社は多数存在するため、これらの企業を一気に取り締まるということは考えられない。政府が対応方法を細則として発表する可能性が高い。