【2018年6月】人事業務の自動化と人事部のあり方

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経営コンサルタントの谷です。最近、人事業務を自動化するシステムが色々と出てきていますね。AIが採用面接をしてくれたり、評価を上司に代わってやってくれたりするシステムもあるようですが、さすがにそこまでではなくても、現段階で比較的抵抗なく導入できそうなものが、人事評価や目標管理系のソフトかなと思っています。

この世界は日進月歩ですから、1年もすると状況がまた変わっているかもしれませんが、それを承知で、現時点で私が「自動化の価値あり」と思うのは、下記の条件を満たすものです。

  管理者に評価を依頼し、結果を集計する作業がリマインド機能付きで自動化されていること

  評価結果を新給与や賞与額に反映させる計算が、何度でもシミュレーションできること

  各種データの入出力が、CSVで自由に行えること

このようなソフトであれば、人事部で行っている作業がかなり軽減できるはずです。 

その上で、そもそも「人事評価」とは給与査定のために行うイベントではなく、年間を通じて遂行される通常業務の中で、一人一人がどのように行動し、どのように成果を出してきたかを集計するものだ、という考えに基づき

「ラインのマネジャーが週次や月次の業務管理や報告に使える」

ようになっていると、「これはいいなあ、クライアント様にもお勧めしたいなあ」と思いますね。 

ところで、中国でこうしたシステムを販売されている会社の、ある幹部の方に聞いたのですが、システム導入に向けた最大のハードルは「中国人の人事担当者」なのだそうです。自分の仕事がなくなってしまう、と思うのでしょうか。あるいは何年も馴染んできたやり方(手作業)を変えて、システムの使い方を学ぶのがイヤということなのか、システム化すると今まで自分だけがブラックボックス的に管理してきた評価や給与の情報が、総経理や日本本社から簡単に参照できるようになってしまい、自分の権限が削がれると感じるからかもしれません。

私どもがこれまで見てきた企業様の例では、明らかに業務が効率化し、正確性が高まるであろうこうしたシステム導入などの取り組みに当事者が反対する場合、その組織や人員は経営にとって「害」になっていることが多いです。例えばそれが人事担当者だった場合、労務管理や給与計算などのいわゆる「作業的な業務」以外の「企画的な業務」は一切拒否し、しかし中国の労務という日本人には難しいと感じられる分野の業務を囲い込み聖域化することで自身の価値を守ろうとします。そのため、他の社員にとっては不必要に高圧的で、情報は小出しにしか出さず、採用や教育も惰性になっている状況ですね。 

「それでも辞められると困る」と言って問題を先送りしてきたご支援先で、新制度導入などをきっかけに思い切って解雇に踏み切り、人事部員を入れ替えていただいた企業が複数社あります。若干の混乱はありましたが、一時的な業務外注なども使い、乗り切りました。これらの施策をした企業様で何より「良かったなあ」と思うのは、総経理・管理部長の表情が目に見えて明るくなったことです。外国で組織を預かる立場での人事労務の問題は、正直「胃」にこたえます。それが本来、経営側の参謀役としていて欲しい「人事部」に起因するならなおさらです。

皆様の会社でも、より良い組織にしたいけれど何かしらの問題があって踏み出せない、というようなことがありましたら、胃潰瘍が悪化する前に、是非一度、弊社にご相談いただければと思います。