[2009年7月号]09年春。金融危機後の「昇給」結果発表

 

給与につきましては、多くの皆さまが頭を抱える問題だと思います。クイックマイツでも毎年給与調査を行っておりますが、同じタイトルのポジションであっても、その給与格差が約10倍に及ぶこともあります。今回は昇給率を中心に、いくつかのニュースを取り上げてみたいと思います。
 
昨年の上海従業員平均賃金が、今年4月に発表されました。平均年収は39,502元(平均月収:3,292元)で、2007年からの上昇率は13.8%。ちなみに2006年から2007年への昇給率は17.4%でした。また、今年6月には智聯招聘給与データ研究センターという民間機関が行った全中国886社の企業の給与事情調査研究結果(09年3~4月頃給与)が発表されました。金融危機発生以降の給与データと思われ、外資のみならず、中国全企業におけるデータとして参考にできそうです。
 
【昇給率】発表によると、2009年の昇給率は2006年以来の最低値となっており、うち2割強の企業が昇給を行っていませんでした。昇給した企業は75%、据置は19%、降給した企業は6%と、昇給した企業割合は高いものの、その昇給率は6割が10%を下回りました。智聯招聘の統計によれば、2006年、2007年、2008年の昇給率はそれぞれ8.6%、9.7%、13.8%となっており、2009年の昇給率は7.8%を予測しています。
 
【新卒・初任給】次に、新卒の初任給ですが、発表によると昨年と大きな変化はないようです。初任給を据置いた企業が約50%、増額で27%、減少が9%。また調査企業のうち、84%の企業が新卒採用を予定していました。
 
他方、新卒給与に関する調査は上海市でも行っており、2月には、新卒給与指導額(ガイドライン)が発表されています。上海市による新卒月額給与調査では、給与額により「低位、中位、高位」と分割されて公表されています。
2008年データ] 
[低位]1,426元(07比5.7%増)
[中位]2,783元(07比11.7%増)
[高位]6,328元(07比4.4%増)
金額は、増加になっていますが、例年の伸び率としては鈍化していました。
 
 【賞与】また、智聯招聘が09年春節前に2,517社に行った調査では、「春節時賞与を支給する」と回答した企業は、07年の58%から46%へ12%減少。「固定賞与を支給する」と回答した企業の比率も、54%から44%へと減少しています。これに対して、36.1%の従業員は年末賞与に「不満足」と回答している一方、43.7%の従業員は「満足か不満足かという問題ではない」と回答しています。
 同調査では、対象企業の約7割が「人員削減を行っていない」と報告されています。マスメディアを賑わせているニュースからは、とかくドラスティックな対応がイメージされる中国ですが、現実は「そればかりではない」とも言えそうです。現在、弊社では「中国の給与事情」を解き明かす分析を進めており、近日中に発表できる予定です。どうぞご期待下さい。