【2019年8月】ロイヤリティ送金に関する税関のリスク

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中国現地法人から、日本親会社へ、ロイヤリティという名目で送金することが多くなっています。ロイヤリティを送金すると同時に、原材料を日本親会社から輸入しているケースもよくあります。

ロイヤリティに関連する中国の税種 → ①増値税 ②源泉所得税

原材料輸入に関連する中国の税種 → ①増値税 ②関税

関税は、税関の管轄ですので、税務局と動きが異なるのですが、ロイヤリティを日本親会社に支払っている場合、このロイヤリティの金額が原材料輸入金額の一部に該当すると判断され、関税価格に含めるよう指摘を受ける場合があります。つまり、ロイヤリティ金額に対し、関税が課されることとなります。

税関の指摘の根拠は、2013年に公表された、中国の税関総署令(2013) 213号、「中華人民共和国税関輸入貨物課税価格査定弁法」という通達です。この通達の第十三条に、次の通り規定されています。

「①特許または専有技術を含む場合 ②特許方法または専有技術を用いて生産する場合 ③特許または専有技術を実施するために専門的に設計または製造する場合」という三つの状況に該当するロイヤリティは、輸入貨物と関連性があると判断されます。関連性があると判断されれば、関税の課税対象となり、関税の追徴課税が発生します。

  次の例で説明します。 

上海20190730_2.pngのサムネール画像

ケースAの場合、中国の工場内で、日本の生産技術を利用していますので、生産ロイヤリティは、輸入原材料と関連性がないと主張できます。

ケースBの場合、日本本社の技術は既に輸入原材料の中に含まれているので、輸入原材料と関連性があり、ロイヤリティも輸入原材料の価格に算入すべきである、関税の課税対象となる、と指摘されるリスクが高いです。

ロイヤリティ送金に対し、関税の課税リスクが発生するかについては、契約書の内容(特に技術、ノウハウの帰属状況)、ロイヤリティの計算方法、輸入原材料との関連性を検討する必要があります。