[2015年2月号]一般的租税回避防止管理規程(試行)発表

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昨年12月2日、北京の国家税務総局は一般的租税回避防止管理規程(試行)「国家税務総局令2014年第
32号」を発表しました。内容は以下の通りです。

適用対象:
第2条:合理的な商業上の目的がなく、税務上の便益を受けるのを目的とした租税回避スキーム

租税回避スキームの特徴:
第4条:① 税務上の便益を受けることを唯一又は主な目的としている。
② スキームの形式自体が税法規定に則っているが、その経済的な実質は符合しない。

 

特別納税調整の原則、調整方法
第5条:税務機関は合理的な商業目的、経済実質を有する類似的なスキームを基準に、形式より、実質を
重んじる原則により、特別納税調整を行います。調整方法は以下の通りです。
① スキームの全体又は一部を再定義します。
② 税務上、取引相手の存在を否定、又は当該相手とその他の取引相手を同一事業体と見なします。
③ 関係所得、控除、税金優遇、外国税額控除を再定義、又は取引当事者の間に再配分します。
④ その他合理的な方法。

移転価格税制、コストシェアリング、タックスヘイブン税制、過小資本税制との関係
第6条:スキームが移転価格税制、コストシェアリング、タックスヘイブン税制、過小資本税制等のその他特
別納税調整対象に該当する場合、優先的にその他特別納税調整の管理規定が適用されます。

調査立件(税務総局承認制)
管轄税務機関→省、自治区、直轄市税務機関→国家税務総局

立証責任(企業及びスキームの立案者にある)
第11条:企業は《税務調査通知書》を受取った日から、60日以内に租税回避スキームでないことを証明する一定の資料を提出する必要があります。

調査期間(9ヶ月)
第16条:税務総局の承認日から9ヶ月内に調査します。

解説:
1.2008年新企業所得税法第47条で、一般的租税回避防止原則が導入されて以来、《特別納税調整管理
規程》国税発「2009」2号通達、租税条約における受益所有者の定義を明確にする国税函「2009」601
号通達、国外における間接持分譲渡への取組みについての国税函「2009」698号通達を発表し、一般租
税回避防止対策を実務上、既に実施してきましたが、適用対象、明確原則、調整方法、手続指針等が存
在していませんでした。今回の「2014」32号の発表により、一般的租税回避防止規定が制度化されることになります。

2.租税回避スキームの判定に当たり、目的テストと経済実質テストが重要なポイントとなります。事業
再編、持分譲渡を行う際にこの二つの観点からスキームを評価し、文章化する必要があります。

3.調査手続が明確になり、国家税務総局の厳格な管理に置かれますが、事前承認制度、公平性を確保
するための調査委員会を設けている香港、オーストラリアに比べ、企業に対する救済制度が欠けている
のが残念です。