[2010年5月号]よく発生する課税所得の調整項目は何か

  中国の企業所得税法では、事業年度終了後5ヶ月以内(実務では4月末が多い)に管轄の税務局に年度企業所得税納税申告表(確定申告書)を提出して、企業所得税の総合精算納付を行い、税金の追加納付または還付精算を行ないます。
中国現地法人は2009年度の確定申告の書類を作成する時期を迎えています。

  会計上と税務上の処理が異なる場合に、納税調整項目が発生します。確定申告書の中に、監査報告書に記載されている会計上の利益から課税所得への様々な加算調整項目および減算調整項目(日本の別表4の調整)が反映されていますのでよく発生する調整項目を紹介いたします。

 
一.よく発生する加算調整項目は次の通りです。

1.交際費損金不算入額。(発生する生産経営活動に関係する接待交際費は、実際発生額の60%
  が控除できる。ただし、当年度売上高(営業収入)の0.5%を超えない。)
2.損金算入ができない罰金等。
3.受贈資産、債務免除による益金算入額。
4.従業員福利費、労働組合経費、従業員教育経費の損金不算入額。(控除できる枠:従業員福利
  費に対し給与総額の14%  労働組合経費に対し給与総額の2%  従業員教育経費に対し給与
  総額の2.5%) 
5.中国国内で業務を行った従業員の国外社会保険料。
6.固定資産(耐用年数未満の場合)処分損。(税務局承認後、損金算入可能。)
7.貸倒損失否認額。(税務局承認後、損金算入可能。)
8.棚卸資産廃棄損失の損金不算入額。(税務局承認後、損金算入可能。)
9.計上した棚卸資産評価損引当金繰入額。(将来会計上取り崩す年度に減算調整項目になりま
  す。)
10.計上した貸倒引当金繰入額。(将来会計上取り崩す年度に減算調整項目になります。)
11.減価償却、その他償却損金不算入額。(会計上の償却年数と税務上に認められる償却年数と
   異なる場合に発生します。将来減算調整項目になります。)
12.未払給与(賞与)の年末残高。(実際支給した翌年度の減算調整項目になります。)

 
 
二.よく発生する減算調整項目は、上記の6から12の項目に対応し、当年度に容認された過年度損金不算入の項目になります。上記括弧に書いたように、翌年度、または将来年度に減算調整項目となりますので、忘れやすい項目ともいえます。
 
確定申告書を作成するときに、加算調整項目のみならず、減算調整項目の記入漏れをしないように、過年度の税務上の調整項目(日本の別表5(1))もきちんと管理しましょう。