2009年11月12日に発布された財企「2009」242号では、企業の社員福利費に対する財務管理について、厳格管理することが強調されました。今回の通達の中で、企業に影響が特にあると考えられるのは以下の従業員手当に関する項目です。
■ 企業が社員のために交付する交通、住宅、通信の手当については 、月ごとに現金で
支給する場合、住宅手当、交通手当又は車両補助金、通信手当は社員給料総額に
加算 し(個人所得税の)課税対象となり、社員福利費管理の範囲から外す。(2条第1項)
支給する場合、住宅手当、交通手当又は車両補助金、通信手当は社員給料総額に
加算 し(個人所得税の)課税対象となり、社員福利費管理の範囲から外す。(2条第1項)
■ 企業は社員に支給する祝日手当、食堂施設が無いために月ごとに支給する昼食手当は
社員給料総額に加算し、(個人所得税の)課税対象となる。(2条第2項)
社員給料総額に加算し、(個人所得税の)課税対象となる。(2条第2項)
すなわち、現金で個人に支給する交通手当、住宅手当、通信手当、食事手当については給料総額に加算して、個人所得税を納付しなければならないことが再確認されたものです。もともと個人所得税法では、従業員手当については個人所得に含めるものとされており、個人所得税の納付の義務がありました(個人所得税条例第8条1項(1))。しかし、従来は、慣習的に、合理的な範囲内での手当や実費精算による従業員手当は、給料総額に加算しなくとも見逃されてきました。しかし、今後は課税をしっかり行っていくぞという、国家税務局の強い意思が表明されたわけです。一部の企業に見られる、本給の部分を少なくし、その他をすべて手当の名目で支給して個人所得税を過小納税していた悪例を改めるためのものと考えられます。 2009年9月25日の「国家税務局関連責任者による個人所得税に関する記者からの質問」では記者の質問に対して、国家税務局の担当は下記のように答えています。
記者質問:最近あるメディアが個人所得税の政策調整、特に企業が従業員に交付する交通
手当、通信手当に関する個人所得税政策が調整されると報道したが、これにつ
いてどのように考えているか?
担当者: ここで私が強調しなければならないことは、企業の従業員に交付する交通手当、通信手当に対してはいかなる政策の調整も行わないということである。各地の税務機関は従来どおり現行の税法規定に従って執行するべきである。わが国の個人所得税法上、企業が個人に対して交付する交通・通信手当はこれまで常に個人所得税を納めなければならないとされている。これは長年にわたって規定されているものであり(筆者注:個人所得税法実施条例1994年改正、2008年改正ともに規定されている)、過去においては納税の必要が無く現在急に納税が必要となったものではない。この点を一部のメディアは誤解して報道をしている。
以上のように国家税務局の従業員手当に対する態度は明確に“課税”となっています。財企「2009」242号通達は、2009年11月に発布されたばかりであり、2009年度会計年度で従業員手当について税務上の修正処理を行った企業はまだ多くありません。ただ、2009年度に税務調査が入った企業では、従業員手当について修正処理を行うよう指導されたところがあります。2010年1月現在、多くの企業が様子を見ている状況ですが、2010年度については、手当を給与に含めて納税を行っていく企業が多くなっていくのではないかと予想されます。