[2009年10月号]董事報酬の徴収に関する問題について

   2009年8月17日に国家税務総局は、「個人所得税に係る若干の政策執行問題に関する通知」(国税発[2009]121号)を公布しました。今回の通知の第2項において、「董事報酬の徴税に関する問題」が取り上げられております。 中国の個人所得税は、賃金・給与所得項目の税率が5~45%であるのに対して、役務報酬所得項目の税率は、月額20,000元以下であれば20%です。そこで董事と総経理を兼務されている場合、その所得を董事報酬と給与に分けることで節税を図ってこられた会社もあります。しかしながら今回の通知により、董事と従業員を兼務する場合には、賃金・給与所得項目の中で一本化して計算するように求めており、いままでの節税方法を利用できなくなったといえます。 本号では今回の通知について解説したいと思います。

 

1. 今までの経緯

 
1994年に公布された国税発[1994]089号第8条では、「董事を担う個人が取得する董事報酬は、役務報酬所得に属し、役務報酬所得項目の納税額計算方法による」と規定されており、董事報酬が役務報酬所得項目に属するという税務上の見解が示されてあります。さらに1996年に公布された国税発[1996]214号第一項では、「外商投資企業の董事(長)であって、同時に会社の管理職務を直接的に担う、或いは名義上は会社の管理業務職位にはないが、実質的に会社の日常の管理業務に携わっている場合には、当該個人については、董事と従業員の双方の身分を有するとみなされ、董事の身分として取得する董事報酬と従業員の身分として取得する給与とに分けて、個人所得税を徴収されなければならない」となっております。
 
以上のことから、今までは外商投資企業の董事兼務従業員であれば、個人所得税額の計算において、役務報酬所得項目としての董事報酬と賃金・給与所得項目としての従業員給与を分けて、各々項目ごとの個人所得税を計算することが認められておりました。

2.今回の通知(
国税発[2009]121号)による変更内容

   今回の通知では、まず第一項において、「国税発[1994]089号第8条に規定する董事費の役務による報酬項目の徴税方法は、個人が董事或いは監事の職を担い、且つ会社から何らかの任職或いは雇用されていない状況にのみに適用される」と規定し、また第三項において「国税発[1996]214号第一項の執行を停止する」ことを定めております。さらに第二項において、「個人が会社(関連会社)から任職或いは雇用されており、同時に会社の董事或いは監事を兼務する場合、董事報酬或いは監事報酬を給与所得と合算し、給与・賃金所得項目として個人所得税を納付しなければならない」と明確に定められてしまいました。 従って、董事兼務従業員の方は今回の通知内容をご留意ください。