[2009年7月号]企業再編に関する企業所得税の通知が出ました[増刊号]

 

企業再編取引の『企業所得税処理の若干問題に関する通知(財税[2009]59号)』が出ましたので、主な内容をお知らせします。再編により、「資産・出資金を公正価値で評価し譲渡損益を認識する」又は「税務上の簿価(以下簿価)のまま引き継げるのか」、「税務上の繰越欠損金、優遇の引き継ぎができるのか」がポイントになります。
通常は、譲渡があったものとして公正価値で評価し譲渡損益を認識します。適格要件(特別税務処理条件)を満たす場合には、支配の継続とし税務上の簿価で引き継ぎ譲渡損益を認識しない処理を認めています。
1.   企業の法律形式の変更:
非法人組織への変更、登録地の国外への移転等特殊な場合を除き、企業所得税関連事項は引き継ぎます。
2.   債務再編:
非貨幣資産での返済は、非貨幣資産を公正価値で譲渡し債務を弁済したとして処理し、債務の持分への振替は債務弁済と持分投資に分けて、債務返済に係る所得を計算します。特別処理条件を満たせば、債務再編所得が当年度全体の50%を超える場合に5納税年度で平均して計上でき、債務の持分振替で返済損益を認識しません。
3.   持分買取、資産買取:
公正価値で計算。特別処理条件を満たし、全体の75%以上を取得、対価の85%以上が持分支払の場合は、簿価で引き継ぎ、譲渡損益は生じません。
4.   合併:
公正価値で計算し被合併企業の欠損金を引き継がない。特別処理条件を満たし、対価の85%以上が持分支払または同一支配下で且つ対価の支払がない場合は、簿価で引き継ぎ、被合併企業の欠損金も限度額=被合併企業純資産公正価値×最長期国債利率を限度に引き継げます。
5.   分割:
公正価値で計算。特別処理条件を満たし、被分割企業株主が従来の持株比率で分割企業の持分を取得し、分割企業と被分割企業は従来の実質経営活動が変わらず、かつ被分割企業株主が取得総額のうち持分支払が85%以上の場合は簿価で引き継ぎます。

特別税務処理の条件

(一) ①合理的事業目的 ②税額納付の減少、免除、遅延を主な目的としていない
(二) 被買収、被合併または被分割部分の資産・持分の比率が規定の比率に合致
(三) 企業再編後の連続12ヶ月以内、再編資産の従来の実質性経営活動が変化しない
(四) 再編取引対価における持分支払金額が本通知の規定の比率に合致
(五) 持分支払を受けた従来主要株主は、再編後連続12ヶ月以内は当該持分譲渡しない
中国国内と国外との持分買取及び資産買収取引が発生する場合、下記の条件もプラス
(一) 非居住者企業が100%直接支配する別の非居住者企業に保有する居住者企業持分を譲渡し、かつ譲渡者非居住者企業が主管税務機関に3 年以内は譲受者非居住者企業持分を譲渡しないという書面を提出
(二) 非居住者企業が100%直接支配する居住者企業に保有する別の居住者企業持分を譲渡する
(三) 居住者企業はその保有する資産または持分で100%直接支配する非居住者企業に投資を行う
(この場合資産持分譲渡収益は10年で平均して各年度に計上できる)
(四) 財政部、国家税務総局が許可するその他の状況
また全て持分支払でない場合は、非持分支払部分は関連資産の譲渡所得(損失)を認識する。
特別税務処理を選択する場合は、確定申告時に管轄税務機関に書面で届出を行い、条件に合致していることを証明する。
再編前後12ヶ月の資産持分取引は実質に従い、再編取引と一体として処理します。
適用は2008年1月1日からとなっております。