[2009年6月号]中国の財務デュー・デリジェンス

 

現地法人の財務状況が不明瞭だ、不正が疑わしいなどの問題はありませんか?また、企業買収(M&A)や持分譲渡などを予定されていませんか?財務デュー・デリジェンス(Due Diligence:以下、「DD」)とは対象企業の財務諸表の数字が信頼できるものか調査、評価を行う事です。特に、企業買収においては重要なプロセスでありますが、この他にも現地法人や提携先の財務状況の把握等、様々な用途で行われます。
 
 
なぜ財務DDが必要?
 
     中国では企業会計制度(準則)に基づき決算を行っていますが、当基準には決算書の利用者にとって必要な情報が全て記載されている訳ではありません。
例えば、企業買収・売却において、土地使用権などに含み益が存在する場合はその評価目的に合わせて補正する必要があります。また、売上や費用の計上を意図的に調整している場合は、本来の収益力を評価する為に、個々の取引の実態を検証する必要があります。
 
     管理が不十分な会社や、コンプライアンス意識の薄い内資企業などは、上述の会計基準すら守られていない場合があります。
例えば税金・社会保険金の過少納付、保税品の取扱違反等の潜在的リスクを抱えている場合がある為、リスクの評価(数値化)を行い、対処方法を検討する必要があります。また、不正などが疑わしい場合は、調査内容を内部統制の状況、端材の処理、簿外資金の状況等に絞って行います。
 
 
財務DDでよくある問題は?
 
以下は弊社が財務DDを行う上でよくある問題点トップ6です。

① 原始証憑、各種契約書等の資料の整備状況が悪く、検証不能または時間がかかる。
② 棚卸資産、固定資産の管理が適切にされておらず、実物との照合が出来ない。
③ 簿外取引が存在し、取引契約書も無いため、収益計上及び入金までの一連の流れを検証できない。
④ 親会社と債権・債務残高の照合を継続して行っておらず、差異の検証が困難である。
⑤ 長期にわたり税金(特に個人所得税)・社会保険金の過少納付を行っており、金額の特定が困難である。
⑥ 合弁先へ投資した資金がどこに流れたか不明(中文:資金黒洞(ブラックホール))。

 

現場調査でフタを開けてみなければ分からない問題もありますが、事前に対象企業から資料を取り寄せ、予想される問題点を解決しておく事がスムーズな作業につながります。また、調査に際して、調査合意書の締結も重要ですが、短期間で調査効率をあげるためには対象企業と友好な協力関係を築いておく事も大切です。

 

弊社では財務DDの他、提携事務所と協力し法務DD、資産評価、市場調査等をワンストップで提供致します。

また、ビジネススキームの御相談、調査で発見された問題点のフォローアップも承りますので、お気軽にお問い合わせ下さい。