[2009年4月号]2008年度財務諸表監査の最前線から問題報告

 

現在、各会社の2008年度財務諸表監査を行っており、上位3位の監査修正事項を整理してみました。
 
1.カットオフ問題
「発票」主義で売上を認識していることがまだまだ多い
財務担当者は発票を発行する時点で売上を認識するので、期末に出荷済みでも、発票を発行していないと当期の売上として認識しないことが多い。
費用帰属期間の認識が薄い
費用が既に発生した場合でも、発票を取得していないと、当期の費用として認識しないことが多い。
又は、取得した発票を一括して費用計上しているので、費用の帰属期間を考慮せず、費用を過大計上
することがしばしばある。
(提案)「発票」主義を取りやめ、売上については、出荷基準又は検収基準により認識し、費用については、費用の帰属期間を検討し、当期に帰属する費用を計上する必要がある。
 
2.資産の減損・引当
長期滞留の在庫又は実際の売価が原価より下回っている在庫について、減損引当金を計上していない。
固定資産に毀損が発生したり、製造した製品の原価が現在の販売価額を上回ったりする場合、
減損引当金を計上していない。
(提案)在庫及び固定資産の減損引当金に関する会計方針を作成し、資産に減損現象が発生した場合は、作成した会計方針に従って、減損引当金を計上するよう提案する。
 
3.関連会社の債権債務差異
関連会社との年度取引金額・未収未払残高が監査報告書の記載事項であり、年度監査では関連会社との債権債務の確認状を発送している。定期的な帳簿照合が行われないことにより、期末に差異が発生し、監査の修正事項として修正せざるを得ないことが多い。
(提案)財務諸表の正確性を確保するため、日本本社及び関連会社(又は重要な取引先)に対して、経理部門は定期的に債権債務の照合を行うよう提案する。