[2009年2月号]移転価格 関連取引報告表と同時文書[増刊号➀]

2008125日付国家税務総局より『中華人民共和国企業年度関連企業間取引報告表に関する通知』(国税発[2008114号)が公布されました。さらに200919日付で『特別納税調整実施弁法(試行)』(国税発[20092号)(以下「実施弁法」)が公布されました。

国税発[2008114号および実施弁法第11条では、すべての企業に「関連企業間取引報告表」(以下「報告表」)の提出を求めています。
 実施弁法では、関連取引規模等に応じて、一部の企業に「同時文書」(中文は「同期資料」)の準備・保存を求めています。
Ⅰ 報告表について
   2008年度の確定申告の際、すべての企業が提出しなければなりません。
   関連関係認定表、関連者間取引総括表、仕入販売、役務表など9つの表があります。
   関連者間取引総括表では、以下の項目にチェックが必要です。
      同時文書を準備しているか :Yes□ No
      同時文書の準備を免除されるか  □ 
   仕入販売表、役務表では移転価格算定方法を記載する欄があり、以下の6つから選択する必要があります。
1:独立価格比準法 2:再販売価格基準法 3:原価基準法 4:取引単位営業利益法 
5
:利益分割法 6:その他の方法 (6の場合には、具体的に説明)
Ⅱ 同時文書について
   同時文書の作成が免除される(上記Ⅰ③)要件が明らかになりました。以下の3つの要件のうちいずれか一つを満たす企業は免除されます。
1.  年間の関連仕入販売金額2億元以下で且つその他関連取引金額4000万元以下の場合。(関連貸付は利息の受取支払金額により計算)が(来料加工の場合、年度輸出入通関価格で計算)が
2.  関連取引が事前確認(APA)の対象範囲に入っていること。
3.  外資持分が50%以下で且つ国内関連会社のみと関連取引が発生する場合。
   同時文書は翌年の531日までに準備しなければなりません。ただし、適用初年度となる2008年度については20091231日までに延長されています。
   同時文書を準備していない企業が移転価格の調整を受けた場合、延滞利息の計算が5%高くなります。利息の起算日は、翌年61日ですから、かなりの影響があります。
Ⅲ 同時文書が免除される企業の留意点
   関連会社からのコミッション収入が4000万元以下でも、コミッション計算の算定根拠が2億元を超える場合などは免除されない可能性があります。
   実施弁法第29条では「規定にしたがって関連申告を行わない、或いは、同時文書を準備していない企業」を移転価格の重点調査対象としています。「報告表」は必ず提出すべきでしょう。
   報告表に記載すべき移転価格算定方法は慎重に記載する必要があります。同時文書を作成しない場合でも、商流分析、機能リスク分析、比較可能情報の検索など基本的な移転価格スタディを行うことをお奨めします。