2008年度より日本の連結決算制度が変わり、上場系の中国連結子会社は国際財務報告基準(IFRS)での決算を求められる*こととなりました。
(*実務対応報告18号「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」による)
IFRSの重要な項目のひとつに、税効果会計が挙げられます。
そこで今回は、税効果会計?苦手だなあ、と思われる方のために、ちょっと視点を変えた税効果会計のお話をしたいと思います。
会計では費用計上しても、税務では否認されるケースがあります(例えば引当金など)。
このように会計と税務では費用計上の時間差が発生します。(これを税務一時差異といいます)
この税務一時差異を把握するのが税効果会計の目的です。
この税務一時差異を把握するのが税効果会計の目的です。
例 税効果会計を適用していない以下のA社、B社の場合・・・
外高橋貿易会社Aが07年(税率15%)に在庫引当1,000を計上。08年に税務上は在庫廃棄を
実行した。08年(税率25%)に損金認容。
実行した。08年(税率25%)に損金認容。
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2007年(15%)
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2008年(25%)
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2年間累計
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税前利益
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5,000
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8,000
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13,000
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税務調整–在庫引当
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1,000
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‐1,000
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課税所得
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6,000
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7,000
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13,000
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企業所得税
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900
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1,750
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2,650
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税引後利益
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4,100
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6,250
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10,350
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外高橋貿易会社Bは07年に在庫廃棄1,000を計上、税務上も07年度に廃棄損を認容できた。
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2007年(15%)
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2008年(25%)
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2年間累計
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税前利益
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5,000
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8,000
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13,000
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課税所得
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5,000
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8,000
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13,000
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企業所得税
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750
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2,000
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2,750
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税引後利益
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4,250
td> |
6,000
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10,250
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同じ損益状況でありながら、A社の税引後利益のほうがB社より大きい
これはなぜか?→A社は税率の高い年度に1,000の費用を計上することができたからです。
しかし、税効果を適用していない上記決算書では、税率がUPすることによる影響はさっぱり分かりません。
ここで税効果会計を適用すれば、A社の2007年度決算では、税務一時差異である1,000に対して、
税効果資産を認識します。
税効果資産を認識します。
A社が2007年度に計上する税効果資産は
もし税率が変更しなければ… 1,000×15%=150 の税効果資産であったが、
08年に税率が25%にUPするので… 1,000×25%=250 の税効果資産を計上!(資産100UP)
つまり税効果資産とは将来の税金を引下げる効果のある資産なのです。(A社の2008年度企業所得税はB社より250少ない)
日本でも平成11年に法人税率が37.5%から30%に引下げられましたが、この時日本の銀行が税率引下げに反対したとか。
その理由は税効果資産が目減りしてしまうからといわれています。(当時の銀行は不良債権の有税引当を多額に計上していた=税効果資産がたくさんあった)
その結果税率引下げが予定より1年延期になったとのこと。
たかが税効果会計とはいえ、国家税制にも影響する結果となりました。
~お問い合わせは上海マイツIFRS担当まで~