[2008年9月号]匯発[2008]30号通達-輸入代金の90日内支払対策

 

72日に「企業貨物貿易関連外債登記管理の実行に関する問題」(匯発[2008]30号)が公布され、その対策に苦慮されておられる会社も多いかと思います。
その中でも特に影響が大きいと思われる、輸入代金の支払に関する規定と、その対策について検討したいと思います。
 
30号通達の輸入ユーザンスに関する主な概要
  • 2008101日以降の輸入代金の支払分より適用(過年度に輸入したものも対象)
  • 通関後90日以上は対外債務登録の対象となる(通関後であることに注意!)
  • 登録できる累計金額は前年輸入支払総額の10%まで(累計であることに注意!)
 
通関後90日ということは、締め日などを考慮すると事実上6070日程度のサイトになること、また前年10%の登録枠は累計であることから、事実上登録できる金額はかなり限定されます。
以上から、資本金額や運転資金が比較的乏しい保税区貿易会社などでは、今後の輸入代金の支払対策が必要です。
 
資金対策として、増資や借入(銀行、親子ローン)などの資本取引や、販売債権の早期回収なども考えられますが、資本取引や債権早期回収は機動性に欠けることから、事実上101日に間に合わないと考えられます。
 
そこで経常取引にて対応できる対策(案)をまとめてみました。(日本本社からの輸入を想定)
   保有在庫を日本本社に返品する。(実際は物流園区を利用する)
(デメリット) 園区物流コストが発生する。
 
   日本からの輸入ではなく、日本本社の非居住者在庫にする。
(デメリット) 上海物流会社との間で倉庫協議の締結が必要(但し園区は利用しなくてもOK)。
なおサンプル品としての一時輸入の場合、保税期間が180日以下と制限される。
 
   L/Cを発行する。(L/C決済は30号通達の規制対外)
(デメリット) 上海子会社にLC開設の信用力があるか。またLC発行手数料の発生や、そもそも親子会社間でのL/C決済に対する疑問がある。
 
   日本への輸出がある場合、前受金を受け入れる。
(デメリット) 今回の30号通達で、前受金は待機口座へ入金され外貨管理局へ登録が必要となった。なお、外貨建債権債務の相殺は外貨管理法に抵触するのでできない。
 
以上の対策案が考えられますが、これらの対策には日本本社の協力が必要です。
ここで認識しなければならないのは、今回の30号通達は日本本社にも影響があるということです。
つまり、もし30号通達による対外債務登録ができなかった場合、輸出債権を回収できなくなるのは日本本社であり、上海子会社は単に外貨送金ができなくなるに過ぎないからです。
101日まであとわずか、日本本社と早急な対応策を決定する必要があります。