[2007年11月号]~業務改善の現場より~本年度末までに解決すべきことは何ですか?

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 早いもので、2007年も残り2ヶ月となりました。読者の皆様のなかには、今年度の業務改善課題は常に頭の中に残っているにもかかわらず、それに対処する時間を捻出できず苦慮されている方がいらっしゃると思われます。そこで、今回は「典型的な業務改善事例と第4四半期にて着手可能な初歩的対処法」を考えてみました。

1.実地棚卸
【事例】

  • 年1回の形式的な実地棚卸を行っているが、現場にて実物の数量が正しくカウントされているか、管理者としては不安である。
  •  実地棚卸後に帳簿と実物残高の差異が報告されているが、その差異分析が行われず何年も経過してしまった。結果として、差異統計を取るのみで終わってしまっている。
  •  毎月、実地棚卸を実施しており、現場担当者からは「差異なし」の報告を受けている。しかし、業務管理の現状から極小サイズの部品等については、カウント換算時に幾らかの誤差が生じるはずであり、集計結果の確実性に疑問がある。

【対処法】
2007年度末の本格的な実地棚卸に先立ち、10月末または11月末頃に段階的な「予行演習」を実施しては如何でしょうか?ここで、「段階的」と言うのは、現在の棚卸手続きをベースにして、2S(整理、整頓)活動の具現化を図る等、現場担当者が無理なく、かつ、精度を上げた実施可能な仕組みを構築していく過程を指します。

2.発生主義会計
【事例】

  •  発票(正式領収書)の取得と現金の収支に基づき会計処理が行われており、特定のプロジェクトについては「赤字受注」が懸念されるが、社内資料に基づく検証には限界が生じている。そもそも、現行の中国企業会計制度では「発生主義」が会計原則のはずであるが?と悩んでしまった(注:もちろん、発生主義です)。
  • 会計担当者は発生主義の概念を理解しているが、営業部門や倉庫部門等から会計情報がタイムリーに提供されていない。一方、この会計担当者から各部門担当者へ積極的に必要情報を問いかける双方向の社内コミュニケーションが育まれていない。

【対処法】
会社規模と現況に即した業務フローが確立されておらず、発生主義会計を実現する「仕組み」が機能していない事が考えられます。そこで、全ての業務フローを同時に見直すのではなく、まずは、特に重要なフロー(例えば、購買サイクル)に着目して、その「情報伝達の経路」と「各ポイントの判断基準」をチェックしては如何でしょうか?
管理者として通常業務を通じて業務フローを理解していたつもりであっても、特定担当者に著しく業務が偏っていたり、部門間の情報共有の連鎖が途切れている状況が見えて来るでしょう。

 以上をお読みになって、「当たり前のこと!」とお感じになったと思います。その通りです!!
しかし、残念なことに社内全員が日常業務に追われて、これらの業務改善が後回しになっている
ケースが多々見られます。2008年度が始まる前のこの時期に、出来るところから社内業務を見直
しされることをお勧めします。