[2007年06月号]新・企業所得税法親会社への影響[増刊号]

 

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4月号外に引き続き新・企業所得税法について解説します。今回は日本親会社への影響ということで、日本でのタックスヘイブンと外国税額控除について説明します。

 

タックスヘイブン税制とは低税率国(法人税率25%以下)の子会社等の留保利益に対して日本親会社の収益と見なして日本親会社で課税する制度です。今回基本税率が25%となったことでタックスヘイブン税制の対象となります。

但し下記全てをクリアーすれば適用除外となります。
(1)事業基準;主たる事業が①株式・債券の保有、②工業所有権、その他技術に関する権利、特別の技術による
生産方式等、著作権の提供、③船舶、航空機の貸付でない
(2)実体基準;その事業を行うに必要な事務所、店舗、工場等の固定的施設を有す
(3)管理基準;事業の管理、支配、運営を自ら行っている
(4)非関連会社基準;卸売業、銀行業、信託業、証券業、保険業、水運業、航空運送業を営む場合は、
主たる取引の50%超を関連会社以外と行う
(5)所在地国基準;(4)以外の業種はその事業を主として本店所在地国で行っている

実体・管理基準では、総経理等の職務執行、会計帳簿の作成及び保管場所や実際業務の存在などの
最低限の基準を充足しておく必要があります。
また卸会社は関連会社取引を50%以下にできるか、製造業でも製造問屋(この場合は卸売業)でないか、傘型会社は①株式・債券の保有の会社と見なされるかどうか(統括サービス活動かどうか)等の検討が必要となります。
配当源泉;実際徴収は従来ゼロでしたが今後独資企業は原則20%(但し日中租税条約で10%へ軽減)となります。
間接みなし外国税額控除;日中租税条約第23条4(c)に基づく、交換公文で間接みなしが規定されていますが、交換公文は現行外商投資企業所得税法を前提としていますが、新税法施行後であっても2008年度以前の利益配当時に従来どおりの企業所得税税率33%がみなし適用されるのかどうかについては注意が必要です。
直接みなし外国税額控除;引き続き20%で納付したと看做されます。
上記より配当を2007年度中に行うかどうか、また再投資税額還付も2007年までとなる見込みが高いので、上述のタックスヘイブン税制も含め中国現地法人の留保金(剰余金)の方針を検討する必要があります。

 

【解説】過年度の利益100に対して15の企業所得税を支払い8.5の源泉所得税を源泉し残額76.5を配当した場合、親会社の直接納付が8.5、間接納付が15となります。
結果直接みなしは85*20%-8.5=8.5 間接みなしは100*33%-15=18となります。  (一部解説用に簡略化)