【2021年2月】貸倒損失の企業所得税法上控除について

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 2020年度は新型コロナウィルスに振り回された1年であったかと思います。特に企業にとっては資金繰り、債務債権において相当の圧力があったかと思います。この環境において貸倒損失、企業年度決算をどのようにしたらいいのかは、非常に重要になってきます。以下に処理方法を簡単にご紹介いたします。ご参照ください。

 貸倒損失は企業所得税法上控除可能か否かは基本的に以下の3つのポイントで確定されます。

1.貸倒が実際に発生しており、かつ証拠資料を完備していることが資産損失控除の前提条件とされている。

2.貸倒に対する損失処理を会計員より行っている。

3.定められている関連手順、要求に従い、貸倒損失を主管税務機関にて申告している。

 貸倒損失の企業所得税法上控除の規定詳細は以下の通りです。

関連政策

関連内容

<企業所得税法>

8条  企業において実際に発生し、収入取得と関連がある原価、費用、税金、損失とその他支出などの合理的支出は課税対象額計算時に控除することができる。

企業資産損失企業所得税税前控除管理弁法>(国家税務総局公告2011年第25号)

 

3条 企業所得税を計算する時に控除できる固定資産は、企業が固定資産の処理又は転売時に発生した合理的な損失及び企業が実際に処理、転売をせずに、<通知>及び本弁法の規定条件と一致し、計算した損失を指す。

4条 法定資産損失については、企業は当該資産が法定資産損失の認識条件を満たすことを証明する証拠資料を主管税務機関に提供し、会計上での損失処理が行われた年度にその控除を申告しなければならない。

5条 企業で発生する資産損失は定められたフロー及び要求に基づいて主管税務機関にて申請を行った後、控除することが可能となるが、申告を行わない場合は控除してはならない。

6条 企業の過年度に発生した資産損失を当年度の課税所得から控除できない場合、本弁法の規定に従い、税務機関に説明し、専項申告を行うことで控除することができる。うち、実際資産損失に該当する場合、当該損失の発生年度に遡って追加控除することができる。その追加認識期限は普通、5年を越えてはならない。法定資産損失に該当する場合、申告年度に控除しなければならない。

説明

 貸倒引当金を計上する処理は「会計上では損失処理を行っている」ことになりません。単純に貸倒引当金を計上し、貸倒の消込処理をしていない場合、貸倒損失は企業所得税法上損金不算入となります。

 新型コロナウィルスの影響により、取引先で資金繰りに問題が発生し、買掛金が支払えなくなり、売掛金貸倒となる状況があります。この場合の資産損失の処理方法は以下の2点が考えられます。

1債務再編

 相手と債務再編協議を締結し、一部債権を免除し、貸倒損失として処理します。この方法のメリットは良好なビジネス関係を保つことができ、貸倒を速やかに処理することができます。

2一年後に申告控除

 総局201125号公告第24条によると、1</span >年以上を超過し、1件につき、金額が5万を超えない又は年間売上総額の0.01%を超えない売掛金は、会計上で既に損失処理をしている場合、貸倒損失とすることが可能です。ただし、この場合、自ら発行する法定代表者、主要責任者、財務責任者が承認した損失に関する書面声明資料を調査対応資料として保管する必要がありますので、ご注意ください。