[2007年06月号]外商投資企業の利益配当

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  『中華人民共和国外商投資企業財務管理規定』(以下は『規定』と称する)、『中華人民共和国公司法』(以下は『公司法』と称する)及び『中華人民共和国外商投資企業会計制度』(以下は『制度』と称する)の関連規定によりますと、外商投資企業の利益配当について、下記のとおりです。  

項   目 内     容
配当順序
(『規定』第37条)
1.繰越欠損金の補填
2.三基金(準備基金、企業発展基金、従業員奨励及び福利基金)の積立
3.投資者への利益配当
三基金積立比率
(『公司法』第167条)
積立比率は董事会で決定されます。
1. 準備基金:税引後利益10%以上の積立が必要。登録資本金の50%に達すれば、その後計上しなくても可。
2. 企業発展基金:外資企業は積立義務無し。
3. 従業員奨励及び福利基金:外資企業は積み立てなくても可。
三基金の利用
(『公司法』第169及び『制度』第57条)
1. 準備基金は企業の予備的な留保資金で繰越欠損金の補填及び増資
に利用できます。
2. 企業発展基金は生産拡大等に利用しますが、審査機関の許可により、増資に利用することも可能です。
3. 従業員奨励及び福利基金は従業員の非経営性奨励、従業員住宅の
購入及び修繕手当等の団体福利に利用します。従業員奨励及び福利基金は会社にとって債務となります。会社が使用することは出来ません。

日本では利益処分項目は株主総会で確定した時の会計年度に経理処理されます。即ち、前年度の利益は次年度の計上となります(確定決算)。これに対し、中国の企業会計では、次年度の5月頃に董事会で確定した利益処分案を前年度の決算書(貸借対照表等)に反映させることになります。即ち、利益処分が決議された年の前の年度に繰り上げられます(繰上決算)。
原則として、外国投資企業は繰上決算ですが、実務では確定決算によって利益処分をしている会社もあるようです。