【2016年5月】コラム第15回 中小企業で果たすべきCFO業務

2016.05.01

コラム_タイトル用.png

営業企画部 片瀬陽平

コラム第15回目

 4月21日(木)13:30~ 不正セミナーを開催させて頂きました。ご参加いただいた方々にはこの場を借りて改めて御礼を申し上げます。ありがとうございました。
当コラムにおいても、セミナーの開催にあたり全3回の内容で中小企業が防ぐべき不正の手口について執筆しました。今なお、日系企業は海外子会社の不正に注目しています。ただ、前回のコラムでも記載しましたが、不正撲滅(可能性の
撲滅)は業務に人の手が介在している限り、現在において不可能です。海外に進出する企業は不正をあるものとして捉え、その発生の可能性をいかに少なくできるかに取り組んでもらえればと思います。

 さて、今回のコラムでは意思決定について少しお話しさせて頂こうと思っています。(ちなみに筆者はゲーム理論等に精通していないため、主観による意思決定である旨ご了承いただければと思います。)
意思決定は、単純に意思を決定するだけですので、誰にでも可能な行為です。
世の中には、多種多様な意思決定が存在しますが、誤った意思決定があまりに多いように思います。
双六を例に説明すると、私が思う意思決定とは、双六でサイコロを振るという行為ではなく、双六のサイコロ及び盤面をルールに従って収集・確認・操作・改ざんした上で、サイコロを振ることだと思っています。サイコロを振る前に盤上の1マス先から6マス先を確認し、どこに止まりたいかを考えることは、双六をやったことがある人にとっては想像に難くないでしょう。4マス目から6マス目までが自分にとって理想的な局面でどうしてもそこに止まりたい。このような状況でサイコロを振るときは、4・5・6しか出ないサイコロを使うことが重要です。意気揚々と4・5・6しか出ないサイコロを振り、6マス進んでみたら、誰かの手によって6マス目の内容が書き換えられているということもあるかもしれません。なぜ、6マス目の内容が書き換えられたという情報をつかんでいなかったのでしょうか。サイコロを振ることは意思決定ではありません。

 意思決定(下記にいう、「踏襲された意思決定」)において重要だと思うことに「フレームワークの構築」があります。下記の情報を正しく組み込んで、フレームワークを構築する必要があります。

【意思決定のための要素】
①ルール
②情報
③意思決定者
④行動

 今多くの日系企業は海外に進出し、フレームワークの基礎を固めています。それと並行し、情報を集めなければ意思決定及び行動をすることができません。しかしこれからの時代、情報は人間が集めるものではありません。言ってしまえば意思決定は人間が行わない方が効率的です。確かに意思決定をするにあたりルールの設定はとても大切なことですが、国という概念が希薄するのに伴って、ルールの上位概念ができることでしょう。今世界で流行っているもののほとんどは、先進国と発展途上国のギャップでしかありません。これはルールのギャップと捉えても良いかもしれません。AIが意思決定する未来では、非効率の判断が大きなテーマになっているような気がします。「清濁併せ呑むことはできるが、清濁併せ持つことはできない」というような。
今、我々が行っている多種多様な意思決定は、ほとんどが過去に誰かが行った意思決定を模倣しているに過ぎません。そして意思決定の模倣は情報量によって、その成否が分かれます。情報量によって可能性の評価が可能になるのです。
それ以外にも行動が重要です。AIが行動するためにはロボットが必要となりますが、人間は考えを自身で行動に移すことができます(AIが行動できるためのロボットを人間が与えてしまった場合を考えると少しぞっとします。禁断の果実になり得ると個人的には思ってしまいます)。「踏襲された意思決定を行うのはAIに任せ、人間はそれを行動に移す意思決定をし、行動する」これが、そう遠くない未来の意思決定の形になるかと思います。


現段階のビジネスは売る側も人であれば、買う側も人であるかと思います。効率的な判断はAIに勝てないかもしれませんが、人は非効率な判断もできるのです。そして非効率に買うのです。つまり、売り方(方法論)を検討することが可
能であり、既存ビジネスこそ方法論の検討が重要になるのです。その中で大切になる価値観は「時間(速度)」であり、上記にいう「ギャップ」であります(もちろん利益率を上げるための「標準化」なども大切です。海外に出る意義に照らし、あえて「ギャップ」としています)。
ただし、現状をみてみると、ギャップがあるのはローカル市場と日本市場の間なのに、現在の日系企業は海外に進出しても日系企業相手にビジネスをしてしまうことが多く、なかなかそのギャップを埋められてはいせん。もう少し日系企業からも「あえて品質を落とす」という意思決定が現れてもよい気がします。

 意思決定は自身の立っているフィールドによって、何を要素に組み込むかは変わってきます。現在の意思決定、将来の意思決定、その転換点をしっかりと考えながら意思決定をすれば、ただサイコロを振るのではなく、確実に成功するであろうサイコロの振り方が見えてくると思います。
※意思決定者が感情論者にならない仕組みがあることが前提ですので、その点ご注意ください。