【2022年9月】目標によって部下を指導するということ

 

 

 

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多くの在中日系企業で、業務成果を評価するため、また社員が自ら立てた目標によって高いモティベーションで業務遂行してもらうため、「目標管理制度」を導入されています。最近のお問い合わせで増えているのが、「部下全員の目標達成度を100点で出してくる管理者が何人もいるが、どうしたらいいのだろうか?」というものです。

そこまで極端でなくとも、ほぼ全ての部下に、SまたはA評価を付けるという上司の話は、中国では非常によく耳にします。

この問題には、いくつかの原因があります。

まず第一に、

「マネジメント(上司の仕事)」とは何か?が定義されていない

ことが非常に多くあります。

今回のケースでは、

  • 部下に、自社の制度に従った正しい目標設定(上位目標に貢献する価値があり、SMART原則に則っている)をさせること
  • 期中達成管理と指導を適切に行い、部下に言い訳を許さず、確実に遂行させること
  • 結果を厳正にチェックし、達成度を共有、納得させた上で、来期の改善に向けたモティベーションアップを図ること

等が、「上司の職務」として設定されていなければなりません。逆に、こうしたことができていない上司は、マネジメント不全ということになり、上司本人の評価が低くなる、という仕組みにしておくべきなのですが、それがなされていない場合に、冒頭のような現象が起こります。部下の業務実態をきちんと見ることなく、全員に100点を付けてくる上司は、ゼロ査定になるなどの設定があれば、上司も必死になります。

またこれらを適切に実行してもらうために、

上司に対する「目標の作り方、作らせ方」の教育

が不可欠です。上述のSMARTなどは、研修などで教育する機会を設けている企業もあるようなのですが、「その目標項目で良いのか?上位目標とのリンクは正しいのか?」を判断できる基準や手法について、きちんと教育できているケースは決して多くないと感じます。

このことによって、部門が設定した数値目標を単に分解しただけで、組織全体としては意味があっても、個人にとってはあまり意味がないような目標を書いてしまっている、というようなことも起こってしまいます。当然、それではモティベーションも上がりません。

もし、御社で目標設定の仕方や、期末評価でお悩みでしたら、是非弊社にご相談ください。

今号も最後までお読みいただき、ありがとうございました。