【2020年5月】コロナウィルス防疫第二段階の注意点について

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4月に入ると、中国国内の新型コロナウィルス感染者が極めて低い水準に抑えられ、中国政府の防疫の重点は、入国者と無症状感染者に移行しました。また、4月7日に武漢市の封鎖状態が解除され、中国すべての都市が自由移動できるようになりました。国務院からも、秩序のある経済回復を呼び掛け、疫病の影響からいち早く復帰することを促進しています。

ただし、企業に対する影響は、これからも長く継続する可能性が考えられます。不意打ちを防ぐため、その可能性を考え、早い段階で手を打つことが必要です。現段階では、主に以下のリスクが考えられます。

1.従業員の不安、不満など、ネガティブ情緒

上海では3月中から在宅勤務を中止し、毎日出勤する会社が増えてきて来ました。従業員は従来のポジションに復帰しましたが、出勤途中やオフィスに出入りするときの感染リスクを感じ、不安が残されています。特に、武漢の封鎖の解除、会社訪問客の増加など、一部従業員から「出勤すべきではない」との声も増えています。特に、近いうちに、外国から中国に戻る人が増え、従業員の不安が一層高まると予想します。

もちろん、政府から強制命令が出されない限り、従業員の在宅勤務などを許可する必要はありません。ただし、従業員の不安に適切に対応しないと、会社は従業員のことを考えていないと、不満が拡散するリスクが考えられます。このため、時差出勤などの現行対策を基礎に、追加対策を従業員に発表し、安心させることが必要と考えられます。例えば、以下の対策が考えられます。

?武漢や海外から戻ってきた従業員に、一定期間の在宅観察期間を要求する。

?武漢から戻ってきた従業員に、ウィルス検査の報告書を提出させる。

?従業員にマスク、消毒液等の防疫グッズを配布する。

2.業務量の減少による勤務環境の散漫

新型コロナウィルスの影響で、一部会社の業務量が減少し、従業員に十分な業務が与えられない状況が発生しています。特に、日本人管理者が中国に戻っていないので、今までの勤務規律が散漫になっている傾向があります。

就業規則で罰則が定められている場合、規律違反行為に対して、懲戒処分を与えることができます。従業員のモチベーションを損なわずに、勤務環境を改善するためには、現場担当者から周囲にポジティブな影響を与えることが大事かと考えられます。今回を機に、会社の経営管理方針を理解する現地管理者を重要視し、現地化の推進を検討してはいかがでしょうか。

3.収益状況の悪化に伴う諸問題

新型コロナウィルスで、世界各国の経済が大きなダメージを受ける可能性が高いと考えられます。2020年度からの数年間、一部企業の業績が著しく悪化する見込みになっています。それに伴い、さまざまな経営問題が表面化してきます。会社は中長期の経営状況を予測し、対応策を検討、実行していく必要があります。主に以下の経営管理上の問題が考えられます。

?会社収益の悪化で、会社の閉鎖、従業員のリストラ、一部組織の改革などが必要とされる。

?人件費をコントロールするため、一部従業員の減給が必要とされる。

?年度昇給やボーナスは例年通りの金額が維持できなく、従業員のモチベーションが損なわれる。