【2016年10月】疑わしい病気休暇への対処方法

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従業員が病気休暇証明書を提出した場合、この病気が偽の病気であることを証明することは非常に難しいです。しかし、会社としてこの種の濫用的な病気休暇申請を黙認するわけにはいきません。もちろん本来の病気休暇申請は当然認めるとしても、病気休暇申請のハードルを上げることで濫用的な病気休暇申請を完全ではないとしてもある程度防ぐことができます。


(1)就業規則にルールを設ける
多くの日系企業は、就業規則において、病気休暇申請についての詳細な手続きを定めていません。下記(2)以下に述べる手続きは、少なくとも就業規則に規定を定めておかないと従業員がこれらの手続きに従う義務が無いため、就業規則に病気休暇申請の詳細な手続きを定める必要があります。就業規則に病気休暇申請の詳細な手続きを定めておけば、病気休暇申請手続きに従わないことを理由に病気休暇を認めず単なる欠勤扱い(無給)にす
ることができます。もっとも、就業規則に定めさえすれば、病気休暇申請手続きに従わないことを理由に無給にしたり、解雇したりできるかというと、裁判例ではケースバイケースで有効性が判断されることが多く、一概には言えません。しかし、交渉の一つのカードとして就業規則の病気休暇申請手続きを利用することは可能です。他の従業員も会社の姿勢を見ているので、ルールに従って会社の姿勢を示すことは非常に重要なことです。


(2)一定クラスの病院の受診を指定する・会社指定の病院の受診を求める
中国では公立病院の等級が一級~三級と分かれていて、それぞれの級に甲、乙、丙の区分があります。濫用的な病気休暇申請が行われる場合は、自宅の近くの顔見知りの病院が診察を行う場合が多くなっています。このような場合、特段の検査もせず安易に病名をつけることもありえます。
そのため、就業規則に「病気休暇申請の際には、二級以上の病院の診断書を提出しなければならない」「会社は必要に応じて会社指定病院の受診を求めることができる」と定めて、濫用的な病気休暇申請に歯止めをかけることができます。実際に、主治医のみならず、一定クラスの病院の受診を求めた所、会社に出勤するようになった事例もありました。


(3)資料提出を求める
 病気休暇申請内容が疑わしい場合は、病気休暇証明書のみならず、発票、カルテ、検査結果などの医療記録の提出を求めましょう。カルテに患者の嘘の供述内容があるかどうか、検査を受けたくないなどのチェックをすることができます。カルテの記載内容によっては、治療の意思がないなど会社は反論することができます。カルテの記載などから足の捻挫で一年休むことを認めなかった裁判例もあります。


(4)医師に対する照会を行うことができるようにする
 医師に対する照会としては対面による照会、文書による照会が挙げられます。会社もしくは会社が委託する医師から、診断内容・検査内容について問い合わせをすることが
できます。
当然の事ながら、中国医師法は故意による虚偽の診断書・証明書を作成することを禁じており、罰則も設けています(中国医師法37条)。医師に有形・無形のプレッシャーを与えて、適正な診断を促すことは可能です。