[2015年9月]中国人社員は自律的行動が乏しいとお嘆きの総経理へ

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経営コンサルタントの谷です。今回は「中国人社員の自律・自立」及び「会社へ
のロイヤリティ(忠誠心=loyalty)」というテーマでお話させていただきます。
(注:特許権使用料を表すロイヤリティはroyaltyとなります)

 

 

日本企業は社員に会社への忠誠を求める傾向が強いと言われます。かつて「就職」
ではなく「就社」だ、なんて言葉が流行ったことを覚えておられる方もいらっしゃ
るのではないでしょうか。日本独特の「総合職」という職種(仕事の内容を表さな
いのに職種というのもおかしな話です)の存在なども、こうした文化背景あっての
ものなのでしょう。

 

 

さて、中国人はこうした「どのような仕事であれ、会社から求められるのであれば、
謹んで拝命する」という行動を理解しません。「自分の専門性を最大限に活かし、
キャリアアップする」ことのほうが重要だからです。仕事を愛していたとしても、
会社を愛しているわけではなく、何か不都合なことがあったり、社外にもっとよい
仕事があったりすれば、実に簡単に辞めてしまいます。
でも考えてみれば、日本人だって、オーナー経営者を除けば、何のために働いてい
るのかと本当に突き詰めて考えた時、「会社のためです」と言える人は、今どきほ
とんどいないはずです。

 

 

そのような「自分のために働く」人材たちに、「できるだけ安い給与で」かつ、
「できるだけ長く」、「高パフォーマンスを発揮し」、「自律的に」働いてもらい
たいと会社が考えるとすれば、随分身勝手な話ですよね。

 

 

ところで「中国人は独立心が強い」という言い方を聞いたことがありますか?また
逆に「中国人社員は自分で考えず、言われたことしかしようとしない」というのは
どうですか?会社は多くの場合、自律型の人材を求めていると思います。これだけ
独立志向が強いと言われる国で、なんで社員たちは自分で考えることをしないのだ
ろう?そう思ったことはありませんか?この答えの一つが「他人の会社でいくら自
律的に働いても、独立できるわけではないから」です。

 

 

以下の提案は、何社かの日系企業でお話した結果、出入り禁止を言われてしまった
ものです(実話)。「そんな与太は聞きたくない」のだそうです(涙)。でも思い
切って書きます。

 

 

(提案)
もし御社に非常に優秀で、自律的に仕事を進める力をもった人材がおられるなら、
または今後そういう人材を雇っていきたいとお考えなら、是非、彼・彼女のために
「独立支援制度」を作ってあげてください。その人材の会社に対するロイヤリティ
を少しも疑う余地がないというなら別ですが、辞められては困るのであれば、逆に
老板(社長)になる道を開いてあげて、独立後も協力会社としての付き合いができ
る状況を作ったほうがよいはずです。商社でもメーカーでも小売業でもサービス業
でも、業種を問わず制度化が可能です。滅私奉公ではなく、優秀な人材と優良な会
社のWin-Win関係を作り出すことができる制度になります。
現実に独立を果たしてもらうためには、何段階かのステージを経て、一定の条件を
満たす必要がありますが、会社から独立資金を援助して上げるのもとても良い手で
す。是非元社員の老板を輩出していきましょう!