中国国家税務総局は2014年7月29日に、「高額費用の対外支払に関する租税回避防止調査についての通知(税総弁発[2014]146号)」を発表した。
主なポイントは次の通りである。
1. 調査対象企業と対象期間
対象企業:海外関連会社へサービス費とロイヤリティを支払った企業
対象期間:2004年~2013年の10年間
2. サービス費についての調査項目
① 出資者による提供サービス(国内企業の経営、財務、人事に対して行った企画、
管理、モニタリング等 の活動)に対するサービス費
② グループ統括管理に対するグループ管理サービス費
③ 国内企業自力で遂行可能又は第三者が提供済みのダブルサービスに対するサービス費
④ 国内企業の機能リスクと無関係、又は関係があるものの経営実態に見合わない、経営
段階に符合しないサービスに対するサービス費
⑤ その他の取引と同時に発生し、その他の取引の対価に既に当該サービスの対価が含ま
れており、新たに支払不要なサービス費
3. ロイヤリティについての調査項目
① タックスヘイブンへ支払ったロイヤリティ
② 機能を担わない又は簡単機能のみ担う海外関連会社へ支払ったロイヤリティ
③ 国内企業が特許権価値にユニークな貢献をした又は特許権価値が低下したのに、海外
へ支払い続けた高額のロイヤリティ
4. 調査期限
2014年9月15日までに調査を終えて、国家税務総局の国際税務司へ提出すること、租税回避の疑いが明らかな場合、移転価格調査立件手続を始める必要がある。
5. 背景解説
昨年9月1日より、サービス貿易の対外支払に係る税務証明を廃止、税務届出制への適用、及び対外支払に係る銀行審査書類の大幅な削減が実施された。(《サービス貿易等項目の対外支払に係る税務届出に関する問題の通達》(国家税務総局、国家外貨管理局公告2013年40号))税務当局の管理体制はこれまでの事前承認から、送金時の届出制、事後の重点調査に変わった。今回の通知は1年を経過して初めての事後重点調査として、注目されている。
6. 対策
① 税務調査に備えるため、海外関連会社とのサービス費、ロイヤリティ契約内容、税金
納付 を整備する要がある。サービス内容、支払金額、支払対象、計算方法又は計算
根拠、税金納付金額、納付証明などの資料をいつでも提出できるように用意するこ
と。
② 対外支払の必要性、現地法人の機能リスク、経営実態との整合性を税務当局に説明で
きるように理論武装する必要があると考えられる。