監査役の監査範囲を、「会計に関するものに限定する」旨を定款で定めている
株式会社について、その旨が登記事項となります。(会社法改正法案第911条17号イ)
1.監査役の権限及び第三者に対する責任
原則 権限:業務監査(※1)+ 会計監査
その責任⇒取締役の職務を監査する役員として、取締役と同様の責任を負います。
例外 権限:会計監査に限定
その責任⇒会計監査に限定して責任を負います。
業務監査責任を問われた例
食品衛生上その使用が、認められていない添加物を使用した肉まんを販売し、その
ことが判明し た後に取締役がこれを公表せず、積極的な損害回避の方策の検討を
怠ったことにつき、監査役は取締役の明らかな任務懈怠に対する監査を怠ったとし
て、その損害賠償責任が認められています。(平成18年6月9日大阪高等裁判所控訴審判決)
2.監査役の権限を会計監査のみに限定できる場合(会社法389①)
以下全ての要件を満たす場合
①非公開会社(株式の譲渡制限を設定している株式会社)
②監査役会・会計監査人を設置していない会社
③その旨を定款に定める。ただし、会社法施行時(平成18年5月1日)以前に設立
された資本金1億円以下の非公開会社は、定款に監査役の権限が明記されていなく
ても、「会計監査に限定されている」とみなされます。(整備法53・会社法389①)
3.登記をする時期
改正会社法施行後、最初の監査役の就任又は退任が生じた時に同時に登記をします。
(改正附則第22条第1項)