[2014年6月号] 債権回収について

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  普段は会計・税務等の内容についてお送りさせて頂く事が多いと思いますが、今回は債権回収について皆様と考えてみたいと思います。

 

① 人事評価方法を見直す
  営業部門の方は、営業の数字と給与や賞与が連動しているケースが多々見られます。営業部門の方のモチベーションを引き出すために連動しているのですが、「回収率」も評価に入れる事により、営業の方が回収できるかどうかを考えながら日々行動するようになったり、後追いの意識が根付きやすくなります。ですので、評価方法を見直す事により、未回収になるケースが格段に減ります
また、中国では、あまり業務報告書を書くという習慣が定着していません。営業スタッフの業務報告書は「取引の背景や経緯」の記録を残す意味でも重要な物と言えます。こちらも人事評価と連動させることにより、提出してもらいやすくなります。

 

② 資料や書類の保管や引継制度の整備
  突然の転職や退職が往々にして発生する中国では、契約書や取引先の資料等を個人が保管・管理するのでなく、管理部等でしっかり保管する必要があります。これらの資料がなくては、訴訟も難しくなってしまいます。また、引継終了後に経済補償金(退職金)を支払うようにする等して必ず引継を行わないと、後々紛争となった場合に資料や情報が全く無く、当時の状況が分からない事になります。

 

③ 時効管理
  中国の債権の時効は中国国内販売ですと
通常2年となっています。(一部時効が4年の物等もあります)1年ぐらい・・・と思ってしまうかもしれませんが、支払予定日から1年過ぎたものに関しては、危機意識をもって対応していく必要があります。社内でのチェック体制が未整備の場合、気がついたら時効を過ぎていた。と言う事もありえますので、注意が必要です。時効を中断させるためには、訴訟提起や債務者への請求等の方法があります。請求する場合日本では内容証明郵便がありますが、中国にはありませんので、公証人に持参し公証してもらうのが一番ですが、書留郵便やFAX等記録に残る方法で送るというのも、ある程度有効です。その際の督促状の文面が債務に関するものであると明記する必要があるので弁護士等と相談する事をお勧めします。

 

④ 契約書の整備
現地企業との取引では、契約書を締結しないまま取引が先行することがよくあります。現地企業は契約書を作成する事を嫌がるケースが多いため、必ず契約書を交わすためには、自社で契約書や発注書の整備をする事が必要になります。その際、品質、履行方法、支払方法等、明記するべき内容を事前に検討しておく必要があります。取引先には、会社印を押して頂ければ一番よいのですが、署名してもらう際には法定代表人にサインをしてもらうか、法定代表人からの委任状等、契約締結権限を所有している事を証明する資料を提出して頂く事をお勧めます。