[2011年4月号]中国給与2011

  この度の震災で被災された方、ならびにご関係者の方々に心からお見舞い申し上げます。
さて、前回のクイックマイツ通信は、今年に入ってからの最低賃金引き上げや昇給率予測に関して触れました。その後さらに「上海市」「浙江省」「深セン市」の最低賃金引き上げに関するニュースが発表されています(共に4/1からの適用)。また個人所得税の課税最低限度額引き下げや税率の変更も検討されており、低中所得層に対する所得増加の対策も進展がありそうです。しかし昨年来の物価上昇がいまだ各地で続いているため、給与に対する関心は例年以上に高くなりそうです。今回は「難解」とされる「中国給与の盲点」についてお伝えします。

  まず今年に入って改正された「最低賃金(月給)」と、それぞれの「最低賃金の定義」に関して以下にまとめました。

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上記表のように、一概に「最低賃金」といっても地域により給与に含まれるものが異なります。そのため、発表された数値だけを比べても正しい比較にはなりません。例えば、上海市よりも浙江省の最低賃金が高くなっていますが、浙江省は「住宅積立金(個人負担分)」と「社会保険(個人負担分)」を含んだ数値になっています。上海の最低賃金基準を浙江省と同様の計算にあてはめると、上海の最低賃金は「約1,630元(2011年3月現在)」となり、実際は浙江省よりも2割ほど高い水準になります。

  最低賃金だけを見ても地域により定義が異なる中国給与ですが、地域が同じでも各企業により「給与の定義」は様々です。「手取り(net)」を給与とする企業、「総額(gross)」を給与とする企業、はたまた「総額(gross)から個人所得税を控除したもの」を定義する企業など。

弊社で定期的に実施している「給与調査」においても毎回重点的にチェックしている項目の1つです。中国給与では、「給与の定義」を確認することが「盲点」となります。

  政府筋から発布される「給与データ」は、上海・北京の最低賃金などで特別な断りがない限り「総額(gross)」で表記されているとお考えください。クイックマイツの「給与調査」でも、会社毎に給与の定義を確認し、「総額(gross)」表記に統一しています。
  今回で5回目となるクイックマイツの給与調査では、約300社の日系企業よりデータをご提供頂きました。企業や地域により異なる給与の「定義を統一」することはもちろん、43の職位別に「残業」「手当」「変動給」などを区分した詳細な給与データを提供しております。ご購入頂いたお客様からも「自社との対比が便利」「使いやすく分かりやすい」等のお声を多数頂いております。

  4月からは「中国給与・徹底解剖」としたセミナーも随時開催予定です。詳しくはクイックマイツ山田までお問い合わせ下さい。