[2011年2月号]上海市従業員代表大会条例

  2010年12月23日に「上海市従業員代表大会条例」が通過。2011年5月1日からの施行が正式に決定しました。同条例では、従業員の選挙によって選出された「従業員代表大会」に[情報を知る権利]、[参与権]、[表現権]、[監督権]を認め、また「集団契約」締結など従業員の利益に密接に関連する事項についての[審議・提案]、[審議・通過]、また大会での決定事項に対する[審査・監督]、主席団や民主管理委員会(プロジェクトチーム)などの[民主選挙]、董事会・監事会の従業員代表への[民主・評議]など5つの職権を規定しています。
  条項の一部だけを抜き出すと、『従業員の採用登用、評価賞罰弁法、収益分配の原則と方法、従業員の生活福利制度、改革改制の中で従業員の配置転換と関わる方案については、従業員代表大会の[審議・通過]を経なければならない』、、、といったような企業にとって敏感に反応してしまう表現が見て取れます。そのため、一部では企業側の不安を大きく煽るような情報・宣伝もなされ、不安に感じておられる企業様が少なくないことでしょう。
  しかし、本条例では国有資産を有する[国営系企業]、社会サービスを提供する[事業単位]、その他外資系企業・民営企業を含む[企業事業単位]が、それぞれ従業員代表大会において[審議・通過]を経なければならない事項は異なるように規定されています。

例えば、先の例で挙げた
● 従業員代表大会において、[審議・通過]を経なければならない事項(第10条)のうち、
 『従業員の採用登用、評価賞罰弁法、収益分配の原則と方法、従業員の生活福利制度、改革改制の中で
 従業員の配置転換と関わる方案』は、社会サービスを提供する学校などの[事業単位]に対して課せられ
 ている内容です。

● 従業員代表大会において、[審議][意見聴取]することを規定した事項(第9条)のうち、
 『財務予算・決算、再編・制度を改める方案と重大な改革施策、破産あるいは解散を申請する重要な事項』
 は、国有資産を有する[国営系企業]に対して課せられている内容です。

日系企業など外資系企業が、直接関連する事項としては、主に以下の2つが挙げられます。
1.「集団契約」の締結において、従業員代表大会の[審議・通過]が必要と規定
 工会が会社と協議して「集団契約」を起草し、その内容を従業員代表大会に諮ることが求められま
 す。
これは、従業員は「契約の当事者」ですので、むしろ当然と言えるかもしれません。

2.従業員の利益と密接に関わる規則制度の制定・修正は[審議]と[意見聴取]が必要

 これには、「給与調整」などを含むと考えられています。詳細については、審議中の「賃金条例」を待  
 たなければなりませんが、[審議・通過]を経なければならない事項とまでは規定されていません。こ
 のように、一部の表記に左右されるのではなく条例内容の全体を把握し、冷静に対処方法を考えて
 いくことが重要かと思われます。今後、何らかの形で賃金の集団協議の場を設けることは避けられな
 い状況となってきています。

 正確な情報を入手し冷静な対処方法を検討することが対策の一歩です。