[2010年11月号]中国の大卒「初任給事情」から見る日本

  先日「2010中国給与管理フォーラム」が四川大学で開催され、「2010中国給与白書」が発表されました。「白書」によると、2010年の学歴別平均初任給は、専科:1,644元/月、本科:2,116元/月、修士:3,393元/月、博士:5,399元/月となっています。2009年比で、上昇率はそれぞれ本科:4%増、博士:5%増、専科と修士は6%を上回る増加率となっているとのことでした。
  一方、上海では「2010年中国給与トップフォーラム」が開催され、その席上で中智(国営系・派遣大手)の関連会社が「上海市外資系企業給与調査研究成果」を発表したそうです。その内容は、上海市の2010年本科生の平均初任給が初めて3,000元/月を上回ったというものでした。
  こういったニュースを見ると「新卒初任給」は、「地域、出資資本によって差があるな。つまり、会社によって多少の差はあるが本科(日本での大卒に近しい)卒者で2,000~3,000元程度だろう。」・・・と、大差はないものの、日本の「当たり前」を当てはめて理解してしまいがちです。
  しかし、広大な国土を持つ「労働契約制社会」の中国での大卒「初任給」事情は、そんなに単純ではありません。地域、出資資本、学歴よりもむしろ「出身学校」「出身学部」による方が大きく「格差」があるデータがあります。
  社会科学文献出版社 刊 麦可思研究院 編著「中国大学生就業報告 藍皮書(Blue Book)」がそれです。
とかく、発表されるデータの信憑性に問題がある中国ですが、麦可思研究院の報告書はサンプル数、調査方法、有効回答率なども公開され、文書内の用語の定義も行われており、好感の持てる報告書となっています。この「藍皮書(Blue Book)」に大変興味深いデータが掲載されています。

まず、「初任給の定義」ですが、「卒業後半年以内の給与」とされています。その定義において、中国の「国家重点大学(本科)」の出身大学別平均月収ランキングが掲載されています。
 
● 卒業後半年で、最も高給を得ている「出身大学(重点大学)」全国ランキング
1位 :[清華大学]卒業半年後平均月収 : 5,339
50位:[湖南大学]卒業半年後平均月収 : 2,541元 (格差:2.1倍)
 
同じ[重点大学]であっても、「出身大学」だけで「卒業後半年」で2倍以上の「格差」があります。また、「外国語学部(英語以外)」出身者でも大きく給与水準が異なっています。
 
● 卒業後半年での「出身学部別」平均給与 トップ50(外国語のみ抜粋)
第  1位 フランス語 : 4,043元、   第 8位 ドイツ語 : 2,872元
10位 ロシア語      : 2,818元、   第13位 朝鮮語    : 2,647元
20位 日本語       : 2,495元(外国語ランキング50の中では最下位)
 
残念ながら日本語は、ヨーロッパ系言語はもとより同じアジア圏である朝鮮語の後塵を拝してしまっている結果でした。このデータを見た優秀な学生は、どの外国語を専攻するでしょうか?
横並びの給与で「優秀な人材がいない」と嘆くその遠因は、外国語学部で最下位となる水準の給与を決定している私たち日系企業の側にもあるとは言えないでしょうか。