[2010年8月号]2010年、中国『高温手当』事情

  「高温手当は義務なのか?」
2007年11月に広州日本総領事館が広東省労働局との意見交換内容に代表されるように、日系企業が頭を悩ませるテーマでした。この「高温手当」について2010年は例年になく活発に新通知が発布されてきています。今回はこの背景を追いながら、「高温手当対策」についてまとめてみます。(各ニュースについては、弊社HPに日本語版を掲載しています)

 事の発端は、2010年7月初旬に発生した全中国での「異常高温現象」でした。
 
     [2010年7月5日]北京市
『北京7月5日高温の歴代記録を突破。地面温度が68度に』
出所:新京報(北京)
 
この「異常気象」によって、華北地区で死亡事故が相次ぎます。
 
     [2010年7月8日]青島市他
『7月6日午後、山東省(青島市)・河南省(開封市)で高温による死亡事故相次ぐ』
出所:人民網(北京)
 
この状況に各地の大都市圏労働局は、即座に反応します。
 
     [2010年7月6日]北京市
『北京市労働局、高温手当7月より[2倍に増額]を通知』
出所:北京市人力資源社会保障局
 
     [2010年7月7日]上海市
『仲裁責任者、「高温手当を支給しない企業には仲裁申請が可能』と発言』
出所:新聞晨報
 
     [2010年7月9日]広東省
『38度を超える作業時は作業停止・時間短縮を要請する緊急通知発布』
出所:広東省人力資源社会保障庁
 
そもそも、国家が定めている「高温手当」とは、35度以上になる屋外作業者、33度以上となる屋内作業者に対して、各地域が定める手当支給を指示したものとなっています。
この国家規定の細則として、各地域が様々な条件で支給条件を規定しています。ですので、その支給条件、金額、名称に至るまで中国各地でバラバラな実施状況となっているのが実情です。
そういった事情もあり、「法律と言いながら、基準が不明確」「義務なのか?義務ではないのか?」という議論が何年も繰り返されてきました。
ただ、忘れてはならないのは「35度以上の屋外作業場」「33度以上の屋内作業場」での労働は過酷を極める環境であるということです。「中国人だから平気」ということでは決してありません。人間誰しも、著しく体力を消耗し、注意力・集中力が散漫になり、作業効率も減退するのが高温の環境です。こういった環境であっても就労を激励するために何らかの刺激策を奨励しているのが「高温手当」という見方もできるのではないでしょうか。
最低賃金で就労し、ギリギリの生活を強いられている工員にとって、夏場の水分補給代すら生活に重大な影響を与える金額です。そういった状況を補助する意味で、何らかの手当があっても良いのではないでしょうか。「義務なのか?」を問う前に「現場の現実」に目を向けること。こんな些細なことが「労務対策」の根幹をなしてくるのかしれません。