[2007年08月号]新労働契約法 盲点と対応策~その1

 

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 新・労働契約法で、「知っている」「知らない」で大きな違いが出てしまうポイントについて解説します。
●〔1〕書面による労働契約締結の義務化
 新・労働契約法によって、書面による労働契約書の締結が義務化されました。書面による労働契約がない場合、厳しい罰則がついています。

 

 【 今月の必須!対策 】
 ☆ 入社して1ヶ月以内に「労働契約書」を書面で締結する事!
〔罰則:書面で労働契約を締結していない期間が以下の場合〕
(1)採用から2ヶ月目~1年未満・・・労働者に2倍の給与支給
(2)採用から1年以上・・・(1)に加え、法律上は無期限労働契約を締結したもの
とみなされる

 【盲点:要注意です!】
● 今までの慣例で、試用期間終了後に労働契約を結ぶことにしているA社。
2008年1月1日以降は、「知らない」だけで、「採用したくない従業員」に対して、最大3.5ヵ月分の給与を上乗せして支払わなければならない事態になるかもしれません!
 (解説)──────────────────────────────────
 「試用期間」は「労働契約」がなければ発生しませんので、「試用期間中も労働契約中」です。また、1年契約の試用期間が今回の法改正で「2ヶ月」に変更されています。今までのように3ヶ月ではありませんのでご注意下さい(次回に解説)。
 例えば、上記A社が試用期間中明らかに能力不足である事が証明された従業員に対して、契約中止の意向を会社側から伝えるとします。加えて、A社は試用期間の変更を知らずに入社から3ヵ月後にそれを伝えてしまいました。この場合、たとえ本人が契約中止に同意してくれたとしても、以下の項目が問題となってしまいます。

  (1) 書面による労働契約書が、入社後3ヶ月に渡って締結していない事
  (2) 3ヶ月後は試用期間中ではないため、30日前通知の義務をおこたっている事

 この2点に対して、以下の罰則金・経済補償金が発生してしまいます。
  (対1) 2ヶ月目、3ヶ月目の2ヶ月分給与の上乗せ
  (対2)①30日前通知がないため、+30日の継続雇用か1ヵ月分の給与支給
     ②会社都合「解雇」に同意・退職。勤続3ヶ月に対して経済補償金0.5ヶ月
 
 つまり、費用として勤務期間3か月分の給与に「プラス3.5ヵ月分給与相当額」の支払いを求められても、法的には認められる事になってしまう事になってしまいます。
 知っているか、知らないかでここまで大きな差が出てしまいます。入社後スグに「書面による労働契約を結ぶ事」これをお忘れなく、充分ご注意下さい。