[2007年07月号]最新中国労働契約法について

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2007年5月23日「最新中国労働契約法」をテーマにマイツ総経理塾が開催され、上海兆辰律師事務所の弁護士•葉先生よりお話を頂きました。今回の総経理塾は皆様が関心の強い労働契約法(第三稿)ですので、多数の企業経営者の方々に参加して頂きました。

それでは労働契約法(第三稿)のポイントについて簡単にご報告します。
まず、第三稿での試用期間について見てみましょう。(第十九条)

現法規 労働契約法(第二稿) 労働契約法(第三稿)
試用期間は最長6ヶ月 試用期間は最長6ヶ月 試用期間は最長6ヶ月
?6ヶ月未満 試用期間なし ?1年未満 1ヶ月 ?3ヶ月未満 試用期間なし
?6ヶ月~1年未満 1ヶ月 ?3ヶ月~1年未満 1ヶ月
?1年以上~3年未満 3ヶ月 ?1年以上~3年未満 2ヶ月 ?1年以上~3年未満 2ヶ月
?3年以上 6ヶ月 ?3年以上、無期限 6ヶ月 ?3年以上、無期限 6ヶ月

また、第三稿では同一雇用主は同一労働者と試用期間を1度しか約定できません。一定の業務の完了を期間とする労働契約或いは労働契約期間が3ヶ月未満の場合、試用期間を約定できません。試用期間しか約定しない又は労働契約期間と試用期間が同じ労働契約を結んだ場合、当該試用期間は無効になり、労働契約期間とみなされますので、ご注意ください。

次に第三稿での経済補償金について見てみましょう。(第四十七条)
労働者の勤続年数に応じて、1年につき1ヶ月分の賃金を労働者に対し経済補償金を支払わなければなりません。最大で12ヶ月分とします。1年に満たない端数の数ヶ月も、1年として計算します。ここの1ヶ月分賃金とは、労働契約解除又は終止前の12ヶ月間の労働者の平均賃金を指します。また、労働者の月額賃金が企業所在の直轄市、区がある市の前年度月平均賃金の3倍を上回った場合、月平均賃金の3倍を上限として経済補償金を支払う事が追加されています。
 

最後に、第三稿での他の条文を見てみましょう。
*第七条「会社は勤務開始日から労働者と労働契約を締結しなければなりません。また、従業員リストを作成しなければなりません。」
*第十条「企業は労働者と書面で労働契約を締結しなければなりません。また、雇用関係が成立しているにも関わらず書面の労働契約を締結していなかった場合は、勤務開始日から1ヶ月以内に書面の労働契約を締結しなければなりません。」?罰則が課せられます。
*第十四条「無期限契約について企業と労働者の合意があれば、無期限契約を締結することができます。また、以下の条件の一つを満たし、且つ労働者が労働契約の更新を申し出た場合、或いは契約更新に同意した場合でも無期限契約を締結しなければなりません。
?労働契約を更新の際、労働者が同一企業で勤続10年以上である。
?企業が新たに労働契約制度を導入、又は国営企業が改めて労働契約を結びなおす状況下に
おいて、労働者が同一企業で勤続10年以上である、且つ法定定年日まで10年以内である。
?固定労働契約を2回連続して締結しており、3回目を更新する場合。」
未だ確定しておりませんが、ほぼこの三稿の内容が適用となる見通しと言われています。