[2007年09月号]新労働契約法 盲点と対応策~その2

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経営者が「知っておかなければならない」新・労働契約法の内容をご紹介する、「盲点とその対応策」その2は試用期間についてご紹介します。

●〔2〕試用期間について
新・労働契約法では、試用期間について今まで明確な定めのなかった事項においてまで詳細に規定されています。条文に明記されている内容をまとめてみました。

 

【 今月の必須!対策 】

☆ 試用期間も労働契約中である事を改めて肝に銘じておきましょう!

(1)労働契約期間に対応した試用期間(第19条)

 労働契約期間  試用期間
 3ヶ月未満
or 業務完成を期間とする労働契約
 なし
 3ヶ月以上1年未満  最長 1ヶ月
 1年 以上3年未満  最長 2ヶ月
 3年 以上 無期限  最長 6ヶ月

(2)試用期間中の給与(第20条)
社内同職位最低水準の給与を下回らない事。約定した給与の80%を下回らない事。かつ最低賃金以上である事。

(3)試用期間中の解雇制限(第21条)
  試用期間中も一定条件(第39条、第40条1項・2項)以外、使用者は労働者との労働契約を解除できない。  試用期間中に労働契約を解除する場合、労働者に理由を説明しなければならない

(4)その他
①「同一使用者と同一労働者は、試用期間を1回のみ設けることができる」(第19条)②「試用期間は労働契約期間内に含まれる。労働契約で試用期間のみを約定した場合、試用期間は成立せず、その期間は労働契約の本期間とする」(第19条)

 【盲点:要注意です!】
 (3)試用期間中、従来通りに経済補償金などの支払い義務を負う事なく、明確に契約解除できる条件は以下2つと覚えておいて下さい。
その1:試用期間中に採用条件に合致しないことが証明された場合。
その2:労働者が使用者の制度規定に違反し、その程度が重い場合。

 従来のような「感覚」を理由にした試用期間中の契約解除は、難しくなります。今回の新法では経済補償金の支払い義務範囲が大幅に拡大されているとも解釈できますので、思わぬ痛手をこうむる事になるかもしれません。しかし、極わずかな「ダメな人材」のために労力をかけてしまい、優秀な人材のモチベーションを入社前から下げてしまうような条件提示も考えものです。そこで、「こういう人はダメ」というネガティブリストではなく、「これができる人を採用したい」というポジティブリスト=「評価基準」で判定してみても良いかもしれません。労使関係でWin-Winの関係を築ける合理的な「評価制度」「就業規則」の構築が新・労働契約法対策の極意とも言えるのではないでしょうか。