PDF版はこちら → China Info JPマイツ通信 2023年2月号
2023年1月8日より海外から中国への入国者に対する隔離措置が撤廃されたとの政策の大転換は、既往JPマイツ通信(2022年12月【増刊号】)の通りですが[i]、その後、各種報道の通り、日本と韓国国民に対するビザ発給が暫定停止しています。ビザ発給の暫定停止について、弊社への状況確認も多数あったことから、本稿では中国への入国にかかる直近状況・規制の推移、今後の動向を纏めています。
- 直近状況・規制の推移
2023年1月10日、中国駐日本大使館(以下“中国大使館”と表記)のHPに、“中国大使館と総領事館は日本国民に対する中国一般査証の発行を一時停止する”旨を公表しました[ii]。同日は突如、中国ビザ申請サービスセンターの窓口でビザ申請が受理されない事態となるなど、混乱を極めました。
その後、非公式ながら暫定停止後に一部のZビザが取得できたケースなどの実務運用が見受けられつつも全面的な停止措置の早期解除が望まれる中、1月29日に中国大使館HPにて“日本国民に対する中国一般査証の発給を再開する”旨が発表され、当該暫定停止措置が解除されました[iii]。
従い、現状では下述1-(2))に則り、渡航時の手続きを行うこととなります。
(1)2023年1月8日の中国への入国時の隔離措置の撤廃以降、政策の推移
中国の隔離措置が撤廃された2023年1月以降、中国への入国時の主な政策の推移は以下の通りです。
(2)現行の渡航時の、(中国側の)水際対策
最新措置である上記③の主要内容は以下の通りであり、青字の要求が上記①から追加されました[iv]。
➤PCR検査及び陰性証明書:搭乗前48時間以内にPCR検査を1回実施・陰性であれば渡航可能。(PCR検査で陽性反応が出た場合、陰性が確認でき次第中国への渡航可能)
また、陰性証明書は検査機関及び報告書のフォーマットに特段の指定はないものの以下が必要です。
その他、陰性報告書の確認は航空会社が行い、紙の報告書の提示が必要(陰性報告書が電子版の場合は、要プリントアウト)となります。
➤税関への申告:陰性証明書を取得後、搭乗前48時間以内のPCR検査結果を「中国税関出入国健康
申告」に事前登録する必要あり[v]。
➤搭乗時と税関での検疫時の水際対策の強化:
✔ 搭乗時:航空会社が搭乗時にPCR検査の陰性証明書を確認(陰性証明書の提示が必要)
✔ 税関での検疫時:目的地に到着後、中国税関の健康申告コードの提示と必要な税関手続きを行う。
この際、中国税関によるPCR陰性証明書の抜き取り検査が行われる可能性あり。
- 今後の動向
まず中国入国時の直近の水際対策は、1月8日の大幅緩和策をほぼ踏襲しています。また、中国国内の感染状況も、中国疾病予防コントロールセンター(CDC)疫学首席専門家・呉尊友氏が1月21日に“局地的には感染者数の増加はあるが既に中国全土で約80%の人が感染した”旨をSNSの個人アカウントで発言[vi]し、集団免疫の獲得を示唆しています。実際、弊社が聞き及ぶ中国現地法人各社の状況と比しても当該感染率に特段の違和感は無く、また上海市や北京市などの大都市では特段の行動制限は課されていないなど、中国国内において一段の感染予防策の強化やゼロコロナ政策への回帰の可能性は低いと思われます。
一方、1月10日に突如開始した日本(と韓国)国民に対するビザ発給の暫定停止ですが、更に翌11日に国家移民管理局はトランジットビザ免除措置対しても当該二か国の国民にのみ、(両国での)“差別的な入国制限”への対抗措置として暫定停止しました[vii]。(尚、韓国国民に対する一般査証の発給の暫定停止措置にはZビザが含まれない等、若干の違いあり[viii]。)
しかし、その後の紆余曲折を経て、1月29日に中国一般査証の発給と共に、ドランジットビザの免除措置も再開され[ix]、更に中国国内の移動時における隔離措置や行動制限は既に撤廃されています。また先般、乙類甲管理(伝染性非典型肺炎(所謂“SARS”)等を含む)から一段レベルの低い乙類乙管理への変更を定めた“乙類乙管理総体方案”では、各航空会社に対する厳格な便数制限の取消や将来的な中国人海外旅行の解禁も謳われており[x]、今後、日中間のフライトの増便や増便に伴う価格の低下も期待されます。この為、中国出張には依然としてMビザこそ必要ですが、日中間の往来は大幅に容易さが増すものと期待されます。
[i] JPマイツ通信を含む各種ニューズレターは右記URLの通り。URL: ニューズレター アーカイブ| 株式会社マイツ (myts.co.jp)
[ii] 原文は右記URLの通り。URL:http://jp.china-embassy.gov.cn/jpn/lszc/hzqzyw/202301/t20230110_11005327.htm
[iii] URL:http://jp.china-embassy.gov.cn/jpn/tztg/202301/t20230129_11015802.htm
[iv] 原文は右記URLの通り。中国へ渡航する際の防疫対策について – 中華人民共和国駐日本国大使館 (china-embassy.gov.cn)
[v] WeChatミニプログラム版、アプリ版「掌上海関」又はネット版のいずれかから行うが、数分以内で完了可能な簡易なものとなっている。
[vi] 関連情報は右記URLなど各種媒体を参照のこと。URL: 吴尊友谈春节疫情:出现第二波疫情的可能性很小- CFi.CN 中财网
[vii] 原文は右記URLの通り。URL:国家移民管理局暂停签发韩国、日本国民来华口岸签证及72/144小时过境免签 (nia.gov.cn)
[viii] 原文は右記URLの通り。URL:https://mp.weixin.qq.com/s/Ml88FNERKV-UV4WqM6kWug
[ix] 原文は右記URLの通り。URL:https://www.nia.gov.cn/n897453/c1557132/content.html
[x] 乙類乙管理総体方案の原文及び詳細は、JPマイツ通信2022年12月号 【増刊号】を参照のこと。
上記内容のお問い合わせは株式会社マイツ担当者まで
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