2018年5月9日に中国の李克強中国国務院総理が訪日し、駐在員の年金に関係した「社会保障に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定」(日・中社会保障協定)を中国・日本の両政府が正式に締結しました。
1.現状 (協定の実施前)
2011年10月15日に執行された「外国人社会保険弁法」では、日中両国からそれぞれの相手国に派遣される従業員について、双方の年金制度に加入を義務付けられる問題が生じています。日本貿易会の推算によると、中国の日系企業では、毎年490億円の社会保険料を重複して納付しています。
2.適用範囲
今回の協定では上記の問題を解決することを目的として、派遣期間が5年以内の派遣被用者は、原則として派遣元国の年金制度にのみ加入することとなります。
①企業から派遣される被用者
②海上航行船舶又は航空機において就労する被用者
③外交使節団及び領事機関の構成員並びに公務員
※同行する配偶者及び子女については、この規定は適用されません。
3.協定発効日
2018年9月1日に「日・中社会保障協定」が正式に執行されます。
この協定により、日本人駐在員が毎月納付する中国の社会保険のうち基本養老保険(年金保険)の部分、中国人駐在員の日本における厚生年金に関しては、今後免除されることになります。
中国の日系企業及び日本人駐在員の負担が減軽され、競争力が向上することが期待されます。