【2025年5月】中国企業の日本進出について

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昨今、中国の企業(以下中国系企業)の日本進出が増加しており、弊社でも中国系企業からの日本進出に関する問い合わせが増えています。中国商務部が毎年発表している「中国対外直接投資統計公報」データからも対日投資の伸びが確認されており、技術力や資金力の向上、為替の影響などを背景に、中国系企業の日本進出は今後も続くと見られます。

日系企業の皆様方の取引先(中国系企業)からもそのような相談を受けることもあるかと思いますので今回は中国系企業がどのような手順で日本へ進出していくのかを大まかに以下説明させて頂きます。

 

【中国国内での手続き】

企業が海外進出する際には、資金を国外に送金するためのODI(域外直接投資)申請が必要です。商務委員会や国家発展改革委員会による審査を受け、投資目的や資金使途を証明する必要があります。

 

【日本での会社設立】
以下2つのパターンがあります。
≪一から会社を新規設立≫
一般的に日本で会社設立するのと同じような流れになります。会社設立にあたって会社定款の制定、事務所の設置、登記、銀行口座開設などありますが、中国系企業が特に苦労するのが銀行口座開設になります。日本の金融機関の口座開設に関する審査基準は厳格(マネロン防止)、であることから多くの中国系企業がここで苦労しています。
≪M&Aによる会社設立≫
既存の日本企業を買収し、事業を引き継ぐ方法です。法規制への対応が容易ですが、適切な買収先の選定や交渉に時間を要します。

 

【経営・管理ビザ】

日本国内に滞在し、事業を運営するためのビザになります。初回は1年間のビザが発給されます。2年目以降はその1年目の活動実績(経営状況、税金の支払い状況など)を見て判断されます。ビザ目的だけの実態のない会社では更新できず、そのままフェードアウトしてしまうケースが散見されています。

 

【まとめ】

取引先の中国系企業から日本進出に関する相談があった際は、「何のために進出するのか?(目的の確認)」、「自社(相談を受けた日系企業)とWin-Winの関係を築くにはどうすれば良いか?」の観点で対応された方が良いと考えます。また実際に進出、という話になりましたら専門家への相談もお勧めします。