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大家好!蘇州マイツの可児です。本格的に秋も深まりそろそろ年度末会計監査の時期が近づいてまいりました。今年度から多くの日系企業でも対応が必要となる中国の新リース基準(企業会計準則21号–リース)について、準備は出来ていらっしゃいますでしょうか。
前提
中国の会計基準には新基準(企業会計準則)と旧基準(企業会計制度)が存在し、新リース基準は新基準に属します。新基準では中国国内の非上場企業について2021年1月1日より新リース基準が適用になります。新リース基準は国際財務報告基準(IFRS)16号とほぼ同等になります。日本親会社が上場しており現地法人をIFRSで連結している場合は既に適用されているケースもありますが、多くの日系企業では今年度が初めての適用となります。旧基準を適用している企業はこの新リース基準は対象外となります。
概要
新リース基準では、借手はすべてのリース(下記例外を除く)について使用権資産とリース負債を認識し、それぞれ減価償却費と利息費用を計上しなければなりません。従来オペレーティングリースとしてリース料を費用計上していただけのリース契約についても、ファイナンスリースと同様の煩雑な処理をしなければならなくなりました。つまり、ただレンタルしているだけでいつまでたっても自分のものにならないモノにも、借入による資産購入のような会計処理をすることになります。
例外
①リース開始日より起算してリース期間が12ヶ月を超えない短期リース
②単一のリース資産で全く新しい資産である場合にその価値が低い少額資産リース(応用指南の例示によると4万元未満)
よくある対象物件の例
①賃貸オフィス・レンタル工場及び外部倉庫 ②社用車・通勤バス ③駐在員等の社宅・マンション
今まで連結や四半期決算等で求められてこなかった場合、現在でも帳簿上では従来通りの費用処理しかしておらず、自社に対象となるリース契約があるかどうか把握されていないケースが散見されます。
早急に①自社が新リース基準の適用対象か否か②対象物件の洗い出し③物件ごとの例外処理の可否④自社の会計担当者で対応可能か否か⑤アドバイザリーやアウトソーシングが必要か否か、について検討されることを提案します。