【2020年12月】コロナ禍における中国ビジネスの考え方

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皆さまこんにちは。2020年も残すところあと一か月となりました。この一年を振り返ってみますと、やはりコロナウィルスに振り回された一年だったと考える方が多いと思います。

コロナ危機から一足先に抜け出したのが中国でした。政府主導による徹底した人の行動制限、テクノロジーを駆使した管理体制の構築を行いました。公共事業を増やし、いわゆる減税政策や各規制緩和など、経済を取り戻そうと大きく動いた結果、国内経済は急速に回復してきていると感じます。一方で、日本を含めた世界各国では引き続き感染者拡大が続いており、人の移動制限によって各国マーケットが分断され、以前の状態へ戻るにはまだまだ時間がかかると予想されます。

日系企業の中国事業を見てみますと、ビジネスモデル別での業績面の差が出始めています。中国国内マーケット向けビジネスを行っている企業の多くで、この夏場以降の売り上げが急速に回復してきており、昨年比で80-90%まで戻している企業も多くあります。その一方、輸出型企業などは厳しい状態が続いていると聞いております。

私どもは工場プロジェクトなどを通して、日常的に各地の政府部門と接触しています。その中で、中国政府は政策面での大きな支援を行うようになったと感じています。

ここ数年、上海市など都市部を中心に環境・安全規制が強化されてきました。都市再開発、土地利用計画の変更などによって、政府主導による大規模な工場移転が進められてきました。そんな中、今回のコロナウィルスの影響を受けて、行政面の各許認可においてコロナ以前は不許可だったものが一転して認められる、これまで進出不可とされていた業種が突如OKとなる、新規投資に対する優遇策の大幅拡大、なども事例として出てきております。

新規プロジェクトを見ても、目に見えて変化が出ています。

上海通信20201130-2.png上記は、江蘇省の某都市における新規投資の推移です。2020年においては、1-4月のわずか4か月で、昨年実績を大幅に上回る結果となっています。そのほとんどが中国内資企業による投資です。

新規投資を決めた企業の話として、政府の強い後押しに加えて、根本には中国市場の明るい未来が見える、皆がピンチの時こそチャンスだととらえる経営者が多いと言います。

日本を含めた外資企業が、どこまで中国マーケット向けに軸足を移して活動できるか、コミットできるかは難しい部分ではありますが、中国企業の思い切った行動力、自国の未来を信じる明確な経営者マインドなど、参考になる部分は大きいのではと思います。