中国現地法人の総経理・駐在員から課題解決に関する相談を受ける場面が多々ありますが、すでに認識されている課題内容だけでなく、その背景はどうなっているのか、本質的な問題は何か、などを把握するためにいくつかの質問をさせて頂く事がございます。また、下記【図1】のような課題解決の推進手順を総経理・駐在員に推奨させて頂く場合、各Stepにおいて障害を抱えられている事が判明することも少なくありません。
本号では、中国現地法人の経営管理上の課題解決を進める手順とその際に発生する障害を紹介します。
【図1】の「Step1:現状整理」では、中国現地法人の経営管理上の課題をいかに明確に出来ているかが重要と考えます。特に課題解決に向けた具体的な道筋をイメージする事が出来れば、その後の対応も円滑に進められると期待できます。ところが、総経理・駐在員自身が悩みを抱えている傾向があり、中国現地法人の課題解決のための現状整理にブレーキをかけているケースが散見されます。
「Step2:対策の具体化」では、課題解決に向けて誰が何をすべきか、いつまでに実行すべきか、どのように関係者の協力を仰げばよいか等の具体的対応をイメージするに留まらず、組織内での役割分担が行えるレベルに詳細化・精緻化されている事が望ましいと考えます。ところが、多くの中国現地法人では、直面する経営管理上の課題に対し、総経理・駐在員の専門性が不足している場合や、予算や人員体制面でも余裕がない傾向があり、対策の具体化が進まないケースが多くあります。
「Step3:優先順位の決定」では、課題解決の対策が具体化され、対応期限が設定される段階ですが、必ずしも適切な優先順位により課題解決が進められているわけではないケースが散見されます。特に親会社からの要求事項への対応が最優先となりがちです。
経営管理上の目標、ビジネス環境による影響、社会的意義の追及を加味すると、課題解決の優先順位が変わる可能性があります。この機会に、経営管理上の課題解決推進に対する障害点検にお役立て下さい。