[2011年8月号]海外子会社との取引を認識していますか?

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 海外に子会社を持つことが特別なことでなくなった近年、新たな問題が発生しています。特に海外進出においては事業部門が中心に行っていることもあり、財務関連や総
務関連の問題を注意する必要があります。

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海外子会社を設立したにもかかわらず日本の工場と同じ認識で、無償の取引をしていることがあります。国外関連者(措法66の4①)に該当する海外子会社との取引は、通常の価額を収受していない場合、税務調査時に寄附金として損金不算入(措法66の4③)と指摘されます。  

 特に無償で行われる取引は、税務担当部門が認識することが困難であるため要注意です。

 

1)海外子会社の銀行借入に対して日本の親会社が保証している。

・日本親会社が海外子会社の銀行借入について保証しているが保証料を受取っていな        い。
        
2)人件費の一部を親会社が負担している。

・現地駐在員の給与について、進出時に設定していた海外子会社の負担額の変更を行っ      ていな
いため、昇給の都度、日本親会社の負担額が増加している。
・直接人件費は海外子会社に負担させているが間接人件費(社会保険の会社負担、退職
金の引
当額等)は日本親会社が負担している。  
・日本親会社が現地駐在員の賞与を日本親会社の基準で算定し負担している。

3)特許権等の工業所有権の使用料を請求していない。

・製造図面や製造マニュアル等を海外子会社に無償で提供している。
        
4)日本親会社の営業活動費用を請求していない。

・日本親会社が取引先に企画提案した取引について海外子会社から直接、取引先に納品されて
いるが日本親会社が受取るべき手数料を受け取っていない。
・日本親会社が海外子会社の売上のために取引先に行う販促活動費(海外部門の人件費等)を負担している。
        
5)子会社の支援を目的に海外出張している。   

・海外子会社の工場立上げのために日本親会社の費用負担で頻繁に海外出張している。 
・海外子会社の品質不良改善のために日本親会社の費用負担で技術者が出張している。

 

上記以外にも想定すべき問題はあり対応方法も会社によって異なります。少しでも気になることがあれば弊社担当者まで、是非ご相談ください。