[2009年4月号]「民法の遺留分放棄」と「遺留分に関する民法特例」の比較

 

今回は、従来からある民法の「遺留分の放棄」と、「経営承継円滑化法」のうち、今年3月1日から施行となった「遺留分に関する民法の特例」についての比較をご紹介します。
(詳細につきましては、ミニかわら版413号・415号にてご案内致しました)

  

手続きする人
遺留分の放棄をする人
後継者
遺留分の放棄の
範囲と内容
  • 遺留分の基礎となる民法上の
    相続財産に対して、原則とし
    すべて遺留分の放棄をする
    こと
    になります。
  • 遺留分の算定は、相続開始時
    時価により行われ、贈与財
    産の
    評価を固定することは出
    来ませ
    ん。
  • 生前贈与株式等を遺留分の対象から除外できます。
  • 生前贈与株式等の評価額を予め固定できます。 
  • 自社株式等以外の財産のうち生前贈与を受けた財産について遺留分の対象から除
    外できます。
効力発生の要件  
  • 相続開始前
    家庭裁判所の許可が必要
  • 相続開始後
    家庭裁判所の許可不要
  1. 合意
  2. 1月以内に経済産業大臣の確認を受ける。
  3. 1月以内に家庭裁判所の許可が必要。
効力の消滅
 遺留分放棄の合理性、相当性を裏付けて
いた事情が変化し、これにより遺留分
放棄の状態を存続させることが客観的に
みて不合理、不相当と認められる至った
場合に限り、遺留分放棄を許可する審判を
取り消し、または変更することが許される。
  • 旧代表者の生存中に後継者が死亡し、または後見開始もしくは保佐開始の審判を受けたこと。
  • 合意の当事者以外の者が新たに旧代表者の推定相続人となったこと(旧代表者の再婚や新たな子の出生等)等により消滅。
遺言書作成の
必要性
相続が開始すれば、遺留分を放棄した者も
相続人となり、被相続人が遺言をしないまま死亡した場合には、遺留分を放棄した者も、法定相続分による遺産の相続をおすることになるので遺言は必要。
 生前贈与株式等が民法特例の対象となるので、原則、遺言書は不要。