今年も平成19年分所得税の確定申告の時期が近づいてきました。上場株式等の譲渡申告を「源泉徴収ありの特定口座」で済まされている方も多いのではないでしょうか。「源泉徴収ありの特定口座」を選択された場合、証券会社が申告・納税してくれるため、納税者にとっては非常に利便性の高い納税方法です。しかし、下記のような場合には、申告した方が有利となる可能性がありますので注意を要します。
(1) 譲渡損が発生した場合
その年において譲渡損が発生した場合、翌年以降3年間にわたり、その譲渡損を 繰り越すことができます。つまり、譲渡損を繰り越すためには「源泉徴収ありの 特定口座」を選択した場合であっても申告しなければなりません。
(2)複数の特定口座を所有し、譲渡損の特定口座がある場合
特定口座内の譲渡損益はその口座内であれば損益通算されます。しかし、複数 の特定口座を所有し、いずれかの特定口座で譲渡損が発生している場合は、申告 しない限り各々の特定口座は損益通算されません。この場合には申告することに より税金の一部が還付される場合があります。
(3)他に所得がない配偶者の場合
他に所得がない配偶者の場合、申告することにより源泉徴収されていた税金の 一部が還付される可能性があります。 しかし、配偶者が源泉徴収された税金の還付を受けるために申告をした場合、 その所得は合計所得金額に含まれ、合計所得金額が38万円を超える場合、夫は配 偶者控除の適用を受けることが出来なくなるため、注意を要します。