日中クロスボーダーM&Aコラム
「持分譲渡の企業所得に対して何%の税金を納付するか?」
Q:日中M&Aにおいて、日本企業は持分譲渡益が発生する場合、企業所得に対して何%の税金を納付しますか?
A:譲渡人(売手)は日本企業で、譲受人(買手)は中国企業である場合、売手は持分譲渡所得に対して、10%の企業所得税(=日本の法人税)を源泉徴収で納付することが必要となります。
①、日本企業は一般的には、中国の非居住者に該当しますので、中国企業からの譲渡代金支払いにより譲渡益がある場合、中国で源泉所得税の課税が発生します。
根拠:
●【企業所得税法】 第3条第3項:
非居住者企業が中国国内に機構や場所を設立していない場合、または機構や場所を設立しているが取得した所得がその機構や場所と実際の関係がない場合、中国国内で発生した所得に対して企業所得税を納付しなければならない。
●同法 第37条:
本法第3条第3項に規定される所得を取得する非居住者企業は、納付すべき所得税を源泉徴収し、支払者が源泉徴収義務者となる。
②、この場合の企業所得税の税率は軽減され、軽減後の適用税率は「10%」となります。
根拠:
●【企業所得税法】 第27条:
企業の以下の所得は、企業所得税が免除または軽減されることができる:
(5)本法第3条第3項に規定する所得。
●【企業所得税法実施条例】 第91条 :
非居住者企業は、企業所得税法第27条第(5)号に規定する所得を取得した場合、10%の軽減税率で企業所得税を課税される。
また、仮に源泉徴収義務者が源泉徴収していない場合、又は、源泉徴収義務の履行が出来ない場には、非居住者企業より自己申告でこの10%の企業所得税を納税することになります。