日中クロスボーダーM&Aコラム
「投資者変更手続きに必要な書類と完了までの期間は?」
Q:持分譲渡において、投資者変更手続きに必要な書類は?完了までの期間は?
A:一般的な必要資料は、政府機関のウェブサイトで公開されている場合もありますが、登記機関窓口を通じて事前に確認することをお勧め致します。完了までの期間は約1~2週間です。
解説:
1.投資者変更手続きの受理部門
●商務部門への認可手続き
ネガティブリストに該当しない外商投資企業に対し、商務部門への審査認可又は届出が不要となりました。
●市場監督管理局への登記手続き
【市場主体登記管理条例】(以下、管理条例という)の第5条に、市場監督管理部門は、本管轄区の市場主体登記管理業務を主管するとなっています。よって、持分譲渡による投資者変更登記手続きは、所轄市場監督管理局(営業許可証を発行する政府機関)へ申請することとなります。
2.投資者変更手続きに必要な書類
必要な資料は、主に以下のとおりです。但し、登記機関により、細かいところにおいて要求の相違がありますので、当局窓口等を通じて事前確認をお勧め致します。
- 持分譲渡契約書:当局より、参考用の簡易フォーマットが提示される場合があります
- 会社決議機関の決議書:譲渡前と譲渡後の2種類;定款規定と会社法に従う
- 董事や総経理の任免資料:必要に応じて
- 新定款又は定款修正案
- 会社登記(備案)申請書:当局の所定申請フォーム
- その他の当局の要求資料
3.投資者変更手続きの完了までの期間
管理条例の第19条により、申請資料が完全であり、法定の形式に合致している場合、6営業日以内に登記できるとなっています。実務上、当局の審査や判断により、申請資料の追加や修正が求められる場合があるため、一般的には1~2週間ぐらいで完了となります。
また、管理条例の第24条により、市場主体が登記事項を変更する場合、変更を決議し又は変更が生じた日より30日以内に、登記機関に変更登記を申請しなければならないとしています。但し、弊社の実務経験上、決議日より30日を超えても変更申請が受理される事例もあります。
なお、土地使用権を有している製造企業が譲渡対象となる場合、市場監督管理局へ投資者変更を申請する前に、地方政府の事前承認が必要になることがあります。この事前承認は、市場監督管理局の手続きと違って規定上に完了承諾期間がないので、数週間~数ヶ月がかかるケースがあります。この点もご留意ください。