日中クロスボーダーM&Aコラム
「中国の開発区とは?開発区の承認とは?」
Q:中国の開発区とは、一つの地域の名称でしょうか?なぜ承認が必要でしょうか?
A:開発区とは、中国政府が投資誘致のために特別な優遇政策を設けて計画した特別な場所です。開発区は1カ所だけでなく、全国にあります。各開発区には明確な参入条件があり、全ての企業が投資できるわけではありません。
解説:
1.開発区の歴史
開発区は、中国政府が投資を誘致する為に承認した特別な地域(開発されていない地域が多い)であり、国家級と省級の2つのレベルに分類されます。
1984年、中国政府は大連や秦皇島を含む14の経済技術開発区の建設を承認し、中国開発区が正式に誕生しました。その後、開発区は急速に発展し、中国政府が2018年に発表した開発区のリスト中国開発区審査認可公告目録には、国家級開発区552、省級開発区1,991合計で2,543地域が掲載されています。
2.開発区の種類
開発区はその機能により、以下のような種類に分けられます。
- 「経済技術開発区」:知識集約型、技術集約型の製造・工業を主要産業とします。外資誘致の主要地域となります。
- 「保税区」:保税倉庫管理、輸出加工、中継貿易の3つの主要機能を持ち、「境内関外」(中国国内にある免税地域)という方針で運営されています。
- 「ハイテク産業開発区」:ハイテク技術を発展させ、科学研究・教育と生産の統合を推進するための総合的な地域です。
- 「国家観光リゾート」など
3.開発区の承認とは
各開発区には、それぞれ独自のポジショニングと優先産業(化学、食品、自動車部品、生物医薬など)があります。開発区の限られた資源要素の配分と効率を最適化するため、開発区はその発展位置づけに沿った企業を誘致し、企業に対して土地利用効率・経済利益(投入金額、税収貢献など)・環境汚染・資源消費(水、電力など)・科学技術内容などの面で要求事項を設けています。
また、開発区内の既存工場を譲り受ける場合でも、新規プロジェクトに取り組む場合は、各開発区の要求によりますが、「プロジェクト投資申請書」や「生産計画書」などの申請書類を開発区管理委員会に提出することが一般的に必要です。開発区管理委員会の承認を取得した後、市場監督管理局に投資者の変更申請を行うことになります。