日中クロスボーダーM&Aコラム
「中国の企業価値評価について(“EBITDA”・“年買法”)」
Q:M&Aでは、“EBITDA”や“年買法”がよく用いられると聞きましたが、“EBITDA”や“年買法”とは何ですか?また、日中のクロスボーダーM&Aでも活用されますか?
A:“EBITDA”や“年買法”は共に企業価値の算出方法の一つであり、日中のクロスボーダーM&Aでも活用されています。
解説:
まず、EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)とは、税金やネットの支払利息と、減価償却費を控除する前の金額を指します。
EBITDA =当期純利益+税金+支払利息–受取利息+減価償却費
すなわち、本業の利益に減価償却費などを加減算した、企業のキャッシュベースを反映した企業価値であり、簡便的に“EBITDA=営業利益+減価償却費”で算出することもあります。
次に、年買法は、以下にて算出します。
年買法=時価純資産+営業利益数年分(通常、3年~5年)
すなわち、時価純資産(コストアプローチ)に、将来価値(営業利益数年分)を加味した評価法です。この為、(割引率の算出等で複雑な計算を要する)DCFとは異なり、非常に簡便に将来価値を反映させた企業価値評価法でディール規模がさほど大きくない場合に良く用いられます。
日中クロスボーダーM&Aにおいても、“EBITDA”や“年買法”は、よく用いられますが、いずれも、中国の鑑定評価事務所で採用される方法では無く、あくまでも、簡便な企業価値計算法で先方との交渉において活用されます。
例えば、“売手の売却希望価格は、EBITDAや年買法で算出した金額のX年分相当、すなわちX年で投資回収できる合理的な売却価格である!!”としてよく交渉に用います。
尚、中国企業の場合、投資の回収期間が5年~7年以内であれば、M&Aを成約できる可能性が高いですが、回収期間が7年を超えると、成約しづらいとの印象がありますのでご留意ください。