【2019年8月】日中社会保障協定が9月1日から発効

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201991日に日中社会保障協定が発効し、これにより中国社会保険料のうち約7[A]近くを占める年金部分の二重払いが解消されます。社会保険料の支払い金額には地域差があるものの、駐在員一人当たり年間約80100万円相当の負担削減が見込まれます。

但し、中国駐在員に対する本協定の適用免除の為に、日本と中国で以下の手続きを行う必要があります。

全体の手続きフロー:

 

*1:年金事務所等:日本年金機構の年金事務所又は事務センターを指す

*2:現法等:現地法人/駐在員事務所等の中国拠点を指す

*3:但し、各種規定に則ったフローであり、実務運用に対する留意が必要

ポイント:

Ø 発効前(91日)より以前に派遣された外国籍人員に対し、適用免除期限(5年)が発効日から
  起算します。但し、二重払いの解消は、養老年金部分のみです[C]

Ø 本協定では、日中双方の加入期間の通算は認められません。

Ø 現地採用や個人事業主の外国籍人員は中国の社会保険に加入し、日本の社会保険に任意加入
  中であっても当該保険に本協定は適用されません。

Ø 初回の適用免除期限は5年ですが、双方の主管部門の同意により適用延長が可能です。

5年を超過し同協定適用の延長が認められない場合、相手国の年金制度に加入し、派遣元国の年金制度加入は免除となります。)

留意事項1:地域により現地対応が異なります

20111015日付け「中国国内で就業する外国人の社会保険参加暫定弁法」の施行により、原則、外国籍人員に対する中国社会保険の強制加入が求められています。但し、実務的には上海など一部の地域では任意適用、すなわち強制適用ではなく、中国の社会保険料を納付していない場合、現状では本発効の影響を受けません。

留意事項2:日本側の早急な手続きが望まれます

中国の上記関連当局に対し、現地勤務開始日を91日とした適用交付申請書等の関連書類の提出が遅延した場合であっても、理論上は9月分以降の支払い済の社会保険料(養老保険)の還付が認められます。しかし、還付制度上の手続きの煩雑さや実務運用の不透明さ等を勘案すれば、還付にかかる所要時間の長期化等が想定されるため、適用証明書の早期提出が望ましいと考えられます。また日本の年金事務所等は協定発効日の1か月前(81日)から適用証明書の交付申請を受付け、91日以降に順次発送する予定であり、中国側で9月支払い分から適用除外を享受するためには、日本側での早急な手続きが望まれます。


[A] 7割弱は社会保険料の会社負担分、個人負担分の両方を合算した割合。会社負担分のみであれば約6割強となる。

[B] 本稿執筆時点では本協定における中国での同フローの要否は未公表だが、中国と他国との社会保障協定のフローでは要求されており、実務運用も含めた今後の注視が必要。

[C] 本協定の発効後も養老保険以外(医療保険、労災保険、失業保険、生育保険)の支払いは免除されない。