PDF版はこちら → ひろよしくんのみみ 2023年12月号
~人のぬくもりのある会社を作る方法はこれだ!!~
先月14日から2週間、再度上海に行って来ました。中国の景気は不動産業など先が見えないほど落ち込んでいる業界もありますが、EV車の車両メーカーは好調そのもの。3年間続いたゼロコロナ政策で傷ついた経済を必死に回復軌道に乗せようとしている政府のやる気を肌で感じます。
滞在中に日中間のM&Aの譲渡契約(約30億円)が中国で成立、資金がエスクロー口座に入ったお礼として、中国側の買手、日本側の売手、両者アドバイザリーの会食に参加して来ました。もっともっとM&A案件に関わって、日中間の懸け橋になれればと強く感じた一日でした。
先日の米中、日中首脳会談をきっかけに、日中関係も再び「政冷経熱」で政治と経済を切り離して双方プラスになる方向に向かってくれればと思いますが……。
さて、今月は日経ビジネスに掲載されていた大阪にある飲食業のフジオグループについて書いてみました。皆さんも、トッピング形式で昼食が楽しめる大衆食堂の「まいどおおきに食堂」、「かっぽうぎ」やうどんの「つるまる」で食事をされた事があるのではないでしょうか?実は、フジオグループの藤尾社長から上海の現地法人の件で相談を受けた事もあるんですよ。
社長の藤尾政弘氏は、幼少期に患った中耳炎の影響で右耳が聞こえなくなり、一人で過ごす時間が増え、その時に文字の書き方を研究。店舗に掛かっている看板は、全て自分で書いたものとか。聴力が少しずつ回復し両親が経営する食堂を手伝い始めます。そして注文は「受ける」のではなく、「取る」という事を学んだそうです。
そして店舗を探す場合、業態に合った店舗を探すよりも、店舗に合わせた業態を考えた方がはるかに店舗を探しやすいことに気づきます。業種に絞られない事業拡大を図り、プロフィールに記載したように、東証1部に上場するまでに成長発展しました。
大学3年の時に、住み込みで働いていた社員が突然辞職。その原因は自分が活躍できる場所がないから。彼らが働ける店舗を提供していきたいと考え出店を加速。一気に上場に漕ぎ付けました。
そして、海外1号店を上海の古北に出店したのですが、もっと高い家賃でも借りたいという借り手が現れたのか、契約期間中にもかかわらず大家に立ち退きを要求されてしまいます。藤尾社長はそれを拒否しますが、その夜に何者かに店舗の厨房機器など全てを壊される事に…。警察に被害届は出しましたが、当面営業は出来ないので泣く泣く大家の立ち退き交渉に応じる事となりました。藤尾社長の事ですから心の中では腸が煮えくりかえるほど腹が立ったと思います。
上場以降、未払残業代の発生などの問題はありましたが、M&Aを展開しながら順調に成長してきたものの、ここにきて未曽有の出来事が発生。今も続いていますが、2020年から突如始まったコロナ!!
「かっぽうぎ」などの居酒屋業態は大打撃を受け、休業・閉店するケースが続出。上記の財務状況が示すように、2020年から3年間赤字に転落。しかし2023年3月開催の株主総会で、「執念」という文字を胸に刻んで結果を出しますと報告。