[2010年6月号]借入金利息に対応する企業所得税の損金算入について

  企業の資金調達方法には金融機構、非金融機構、個人による借入金等多数ありますが、その借入先によっ
て企業所得税法上の取り扱いも異なります。

借入先別の損金算入金額は以下の通りです。

借入先
関連規程
企業所得税の損金算入
1 金融機構からの借入金に対応する利息支出の損金算入
≪企業所得税実施条例≫第38
第(一)項
非金融機構が金融機構から借り入れた資金に対応する利息支出は控除できる。
金融機構に支払う利息額は損金算入できる。
2 非金融機構からの借入金に対応する利息支出の損金算入
≪企業所得税実施条例≫第38
第(二)項
非金融機構が非金融機構から借り入れた資金に対応する利息支出の金融機構の同期同類貸付金利率に基づいて計算した金額を越えない部分は損金算入できる。
金融機構の同期同類貸付金利率に基づいて計算した金額を超えない部分は損金算入できる。
3 非金融機構(関連企業)からの借入金に対応する利息支出の損金算入
①≪企業所得税法≫第46
企業がその関連企業から借り入れた債権性投資および権益性投資の比率が規程の基準を上回ることによって発生した利息支出は、課税所得税を計算するときに控除できない。
②財税[2008]121号
(第一項)企業が関連企業に支払う利息支出は本通知第2条に合致する場合を除き、関連企業から借り入れた債権性投資および権益性投資の比率5:1、その他企業は2:1を超過しない場合は損金算入することができる。
(第二項)独立取引の原則に合致していることを証明できる。
財税[2008]121号第一項に合致する場合、企業がその関連企業から借り入れた債権性投資および権益性投資の割合が規程の基準を上回らない場合且つ利率の合理性(独立取引の原則に合致)が証明できる場合の利息支出は損金算入できる。
4 投資者の期限内の資金払込不足額による借入金利息支出の損金算入
国税函[2009]312号
出資者が規程期間内に払い込むべき資本金を払い込まなかった場合、且つ企業が外部からの借り入れを行ったことにより利息が生じた場合については、実際の払込資本金額と期間内に払い込むべき資本金額との差額によって支払われる利息は企業の合理的な支出に該当しないため、出資者が負担するべきものとされ、損金算入できない。
出資者が規程期間内に払い込むべき資本金を払い込まなかった場合、実際の払込資本金額と期間内に払い込むべき資本金額との差額によって支払われる利息は損金算入できない。
5 非関連個人からの借入金に対応する利息支出の損金算入
国税函[2009]777号
企業が内部従業員或いはその他の個人から借り入れた借入金(株主或いはその他の関連する自然人を除く)に対応する利息支出は金融機構の同期同類貸付金利率に基づいて計算した金額を超えない部分は税法第8条および実施条例第27条によって損金算入できる。
企業が非関連個人から借り入れた借入金に対応する利息支出が規程に合致する場合、その利息支出は金融機構の同期同類貸付金利率に基づいて計算した金額を超えない部分を損金算入できる。
 
<注意事項>
損金算入できる利息は「金融機構の同期同類貸付金利率」(独立取引の原則に合致)が基準となりますので、税率の設定に際しては金融機関の利率を参照されるようご留意ください。また、金融機関を通さずに貸付を行う場合、経営範囲上の問題が生じる可能性があります。